JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG66] 海洋底地球科学

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)

[SCG66-P07] プチスポット火山ドレッジ研究速報とIODP 科学掘削提案 ー 歴史的大発見:東北沖太平洋超深海底の爆裂火口(マール)ー

*石井 輝秋1金子 誠2平野 直人3町田 嗣樹4松本 亜沙子4秋澤 紀克5佐藤 勇輝3油谷 拓6浅見 慶志朗5桂木 悠希3坂井 俊太3中野 幸彦7松崎 琢也8 (1.静岡大学 防災総合センター、2.深田地質研究所、3.東北大学、4.千葉工業大学、5.東京大学、6.東北大学、バイロイト大学(ドイツ)、7.日本海洋事業株式会社、8.高知大学)

キーワード:超深海底の爆裂火口(マール)、プチスポット火山、アスノスフェア由来プチスポットマグマ、東北沖アウターライズ、プチスポット産熱水起源鉄マンガンクラスト、国際深海掘削計画科学掘削提案

東北海洋生態系調査研究船「新青丸」KS-18-9航海(Kenkyusen-Shinsei-maru 2018年第09次航海)は2018年8月2日(木)宮城県石巻港出港-8月11日(土)石巻港入港の10日間に,東北沖東へ約350kmの海域で行われ,乗船研究者は主席研究員平野直人(東北大学)以下計12名である.東京大学大気海洋研究所,平成 30年度「新青丸」共同利用に採択された研究課題名は「プチスポット火山活動分布が示すプレート変形構造」である.厚さ約70kmの太平洋プレート直下のアスノスフェアで生じたマグマが、岩石学的改変無しに直接上昇し形成したプチスポット火山の,構成岩石の採取・産状調査を主目的とする研究航海である.台風13号を回避するため観測時間が大幅に削減されたが,東北の福島沖太平洋プレートのアウターライズ頂部で5回のドレッジにより海底試料採集が行われ,カメラ付きドレッジも試みられた.更に夜間には,「新青丸」の深海用マルチビ-ム音響測深機による海底地形・反射強度調査や,三成分磁力計,船上重力計等による地球物理調査が行われた.航海の主な成果は以下の通りである.①アスノスフェアから直接由来する,噴出地質年代はほぼ現在と判断できる複数個所での,プチスポット溶岩試料の採取,②プチスポット火山活動に伴う熱水起源鉄マンガンクラストの初めての採取,③超深海水深約5500mでの爆裂火口 (マール)を持つプチスポット火山の発見.

新たな地球科学的概念(A)プチスポット火山には海洋プレート直下のアスノスフェア(深約70km)から直接由来するマグマの噴火により形成されたものが有る,(B)プチスポット火山は超深海底(水深約5500m)で爆裂火口(マール)を形成しているものが有る,は地球科学上の大発見である. このような概念(A&B)が日本発の地球科学上の(チバニアンを超える?)大発見として,世界の地球科学界に流布すれば,日本の若い地球科学研究者の活力の向上が計れると思う. このようにプチスポット火山は国際深海掘削計画(IODP)の最新最重要科学掘削課題である.