[SEM22-P15] ドレライトに認められる帯磁率の周期的増減について(予察)
キーワード:ドレライト、帯磁率、周期的変化
島根県東部に位置する島根半島には,新第三紀中新世成相寺層の堆積岩とこれに貫入するドレライト岩床が分布している。今回,層厚約50mのドレライトの柱状試料約8mを用いて帯磁率を連続測定したところ,帯磁率が周期的に増減する事象を確認した。この事象について報告する。
柱状試料は,島根県松江市鹿島町で採取されたボーリングコアの一部である。ドレライトの貫入年代は約14Maであり,成相寺層の凝灰質頁岩を珪化させている。貫入境界付近は細粒で,深部に向け徐々に粒径を増す。薄片観察の結果,ドレライトは斜長石と単斜輝石のオフィティック組織を示し,石基に不透明鉱物が認められる。単斜輝石の一部は変質により緑泥石になっている。EPMAの結果,不透明鉱物は磁鉄鉱およびチタン鉄鉱であった。
ドレライトの帯磁率は,10-3~10-2SIのオーダーであり,貫入境界(深度79.33m)から約1m間は2オーダー程度低い値である。玄武岩の帯磁率は,10-2SIのオーダーを示す頻度が最も高く,10-4~10-1SIのオーダーを示すこともある(物理探査学会,2012)ことから,今回の測定値は一般的な値と考えられる。またドレライト中には磁性鉱物として磁鉄鉱およびチタン鉄鉱が認められている。磁鉄鉱の帯磁率は10-0SIオーダーである(物理探査学会,2012)ことから,これら磁性鉱物が帯磁率の値に影響を与える可能性が考えられる。
帯磁率の値は7~13×10-3SIの範囲で周期的に増減する。その変化様式は,貫入境界から1m付近(深度81m付近)では1m未満の周期であるが,貫入境界から6m付近(深度85m付近)では約2mの周期となっており,貫入境界からの距離の増加に従い,周期も長くなる傾向が認められる。
周期的構造は,柱状試料採取地点から西方約1.5kmの海岸露頭に露出するドレライト岩体の貫入境界付近にも認められる。このドレライト岩体は,帯磁率を測定したドレライトと同時代に貫入したと考えられており,ここでは貫入境界に平行で周期的な凹凸層状構造が認められる。
ドレライトの凹凸層状構造の例として,山形県温海に分布する温海ドレライトが知られている。これは海岸沿いの露頭で貫入境界面に平行に数10cm程度の層状構造が認められるもので,気泡が多い部分ほど波に侵食されやすいためにできた構造で,層の幅は貫入境界から内部に向けて規則的に増加するとされている(Toramaru et al., 1996)。この構造は,マグマ中での熱の移動速度と気体成分の拡散速度の兼ね合いにより,リーゼガング縞のように気泡の成長が不均質かつ空間的・時間的な周期性をもって進行したという考え(二重拡散モデル)によって説明できるとされている(高橋・石渡,2012)。海岸露頭のドレライト岩体の貫入境界付近において温海ドレライトと同様の層状構造が認められることから,調査地点周辺のドレライトはマグマ冷却時に周期的な構造を獲得していたと考えられる。
今回把握した帯磁率の周期的変化から,マグマ冷却時に磁鉄鉱などの磁性鉱物が石基として晶出・成長する際,温海ドレライトの層状構造の要因となった気体成分同様に,周期的成長を起こしていた可能性が考えられる。
柱状試料は,島根県松江市鹿島町で採取されたボーリングコアの一部である。ドレライトの貫入年代は約14Maであり,成相寺層の凝灰質頁岩を珪化させている。貫入境界付近は細粒で,深部に向け徐々に粒径を増す。薄片観察の結果,ドレライトは斜長石と単斜輝石のオフィティック組織を示し,石基に不透明鉱物が認められる。単斜輝石の一部は変質により緑泥石になっている。EPMAの結果,不透明鉱物は磁鉄鉱およびチタン鉄鉱であった。
ドレライトの帯磁率は,10-3~10-2SIのオーダーであり,貫入境界(深度79.33m)から約1m間は2オーダー程度低い値である。玄武岩の帯磁率は,10-2SIのオーダーを示す頻度が最も高く,10-4~10-1SIのオーダーを示すこともある(物理探査学会,2012)ことから,今回の測定値は一般的な値と考えられる。またドレライト中には磁性鉱物として磁鉄鉱およびチタン鉄鉱が認められている。磁鉄鉱の帯磁率は10-0SIオーダーである(物理探査学会,2012)ことから,これら磁性鉱物が帯磁率の値に影響を与える可能性が考えられる。
帯磁率の値は7~13×10-3SIの範囲で周期的に増減する。その変化様式は,貫入境界から1m付近(深度81m付近)では1m未満の周期であるが,貫入境界から6m付近(深度85m付近)では約2mの周期となっており,貫入境界からの距離の増加に従い,周期も長くなる傾向が認められる。
周期的構造は,柱状試料採取地点から西方約1.5kmの海岸露頭に露出するドレライト岩体の貫入境界付近にも認められる。このドレライト岩体は,帯磁率を測定したドレライトと同時代に貫入したと考えられており,ここでは貫入境界に平行で周期的な凹凸層状構造が認められる。
ドレライトの凹凸層状構造の例として,山形県温海に分布する温海ドレライトが知られている。これは海岸沿いの露頭で貫入境界面に平行に数10cm程度の層状構造が認められるもので,気泡が多い部分ほど波に侵食されやすいためにできた構造で,層の幅は貫入境界から内部に向けて規則的に増加するとされている(Toramaru et al., 1996)。この構造は,マグマ中での熱の移動速度と気体成分の拡散速度の兼ね合いにより,リーゼガング縞のように気泡の成長が不均質かつ空間的・時間的な周期性をもって進行したという考え(二重拡散モデル)によって説明できるとされている(高橋・石渡,2012)。海岸露頭のドレライト岩体の貫入境界付近において温海ドレライトと同様の層状構造が認められることから,調査地点周辺のドレライトはマグマ冷却時に周期的な構造を獲得していたと考えられる。
今回把握した帯磁率の周期的変化から,マグマ冷却時に磁鉄鉱などの磁性鉱物が石基として晶出・成長する際,温海ドレライトの層状構造の要因となった気体成分同様に,周期的成長を起こしていた可能性が考えられる。