[SGD02-P03] 房総半島における航空重力データを用いた重力ジオイド計算の初期的結果
キーワード:ジオイド、重力、航空重力測量、高さ基準系
国土地理院では、現在の水準測量に基づく標高の仕組みを、GNSSとジオイドに基づく新たな仕組みへと移行することを目的に、2019年から2022年にかけて全国にて航空重力測量を実施することを計画している。本計画では、現行と同等の精度を持つ標高を迅速かつ全国均質にGNSSから導出するため、日本のジオイド・モデルを精度3cmまで高めることを目指している。2019年12月に関東地域にて観測が行われ、重力ジオイド・モデルの高精度化に有益な航空重力データが得られた(飯尾ほか、2020)。本研究では、現段階でクロスオーバー観測まで実施が完了している房総半島の航空重力データを用いて、当地域の重力ジオイド・モデルの試験計算を行った。その結果、航空重力データは特に海陸接合部にて有効であることが分かり、航空重力データの導入の前後で、計算されるジオイド高に最大15cmの差が見られた。重力ジオイド・モデルとGNSS水準法による実測ジオイド高との間の整合性は、航空重力データの導入により標準偏差で3.8cmから3.1cmに向上した。今後、新たなデータが追加されることで、さらなる高精度化が期待される。