JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学

コンビーナ:松尾 功二(国土交通省国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、岡 大輔(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境・地質研究本部地質研究所 )

[SGD02-P12] GEONET第5世代解析で使用するアンテナ位相特性モデルの検討

*大橋 和幸1村松 弘規1古屋 智秋1撹上 泰亮1 (1.国土交通省 国土地理院)

キーワード:GNSS、アンテナ位相特性モデル

国土地理院では日本列島の地殻変動監視等を目的に、GEONET(GNSS連続監視システム)を用いた電子基準点の日々の座標値を算出している。GEONETは1996年に運用を開始し、4度のシステム改良を経て、2020年から第5世代解析による座標値の算出を行っている。前回からの改良事項の一つとして、基準座標系をITRF2005からITRF2014に更新した。電子基準点のレドーム及び架台は国土地理院独自のものを使用しており、アンテナ位相特性モデルもこれらの組合せに応じたITRF2005に準拠した値であったが、ITRF2014での値を改めて算出した。本講演では、アンテナ位相特性モデルの算出方法、及びこれらを用いた第5世代解析の評価結果について報告する。

位相特性はGNSSデータを、Berneseを用いて解析することで算出した。計算したアンテナは「TPSCR.G5」「TRM59800.80」の2種類で、それぞれにつき、レドーム及び架台の組合せ3種類を計算した。GNSSデータの取得にあたっては、まず、位相特性が未知のアンテナを、レドームを被せていない状態で各架台に設置し(以下、「解析点」)、そのそばに位相特性が既知のアンテナ(TRM29659.00 NONEモデル)を三脚に設置し(以下、「参照点」)、24時間の連続観測を実施した。続いて、各解析点にレドームを被せた状態で、参照点とともに再度連続観測を実施した。

位相特性は、同時観測による二重位相差データを基に基線ベクトルを算出した後、PCO及びPCVをそれぞれ算出する2段階のステップを踏む。まず、初日のIGS点「TSKB」を固定点として、L1波を用いた参照点とのスタティック解析を行い、参照点の初期座標値を算出した。続いて、参照点を固定点として、解析点との短基線のスタティック解析を行い、解析点の初期座標値を算出した。ただし、解析点の高さ方向の値は参照点との直接水準測量を行い、得られた比高を用いて補正を行っている。その後、2日目のGNSSデータを用いて各解析点のL1波及びL2波それぞれの位相特性(以下、「計算モデル」)を算出した。その他のアンテナや、レドーム及び架台の組合せ等については、一標準アンテナとして定める「AOAD/M_T」のITRF2005でのNONEモデルのアンテナ位相特性モデルとITRF2014での差分を、該当アンテナあるいは組合せ等のITRF2005に準拠した値に足し合わせる(以下、「変換モデル」)ことで算出した。2通りの方法で得られた位相特性について両者の整合性を確かめるため、計算モデルの組合せについては、変換モデルも併せて算出した。

結果、いずれのアンテナ、レドーム及び架台の組合せでも、計算モデルと変換モデルの差はPCO及びPCVともにおおむね1mm以内と、近しい値であった。