出展者情報
国立天文台TMTプロジェクト
目次
次世代の超大型望遠鏡計画 TMT太陽系外惑星に生命を探る
太陽系の起源と進化
すばる望遠鏡とともに解き明かす宇宙像
国際協力のなかで活躍が期待される若手研究者・技術者
建設地ハワイ・マウナケアの自然と文化の尊重
ニュースレター
次世代の超大型望遠鏡計画 TMT
太陽系外の惑星に、生命は存在するのか? 宇宙の果ての銀河や原始の星々の正体は? すばる望遠鏡が見いだした新たな宇宙の謎を解明するため、国立天文台は空前の巨大な光学赤外線望遠鏡、TMT(Thirty Meter Telescope)の製作を進めています。30mという巨大な口径がもたらす高い解像度と集光力を武器に、TMTは太陽系内天体から初期宇宙まで、これまで手の届かなかった宇宙の謎に挑みます。◆TMT概要
・主鏡:口径30メートル。492枚の分割鏡で構成
・波長域:可視光および赤外線(0.31-28μm)
・解像度:8ミリ秒角(1μmでの回折限界)
・感度:従来の望遠鏡の100倍以上(点光源を補償光学を用いて観測する場合)
パンフレット(PDF、6MB)
太陽系外惑星に生命を探る
◆地球型惑星の直接観測に挑戦太陽以外の星のまわりにも惑星が存在することが確かめられてから、すでに 20年あまり。その間に太陽系外の惑星は 4000個以上も見つかってきました。しかし、惑星の姿を画像として直接とらえた例は多くなく、いずれも木星のような巨大惑星ばかりです。太陽のような明るい恒星のすぐ近くにある暗い惑星の光をとらえるには、大きな望遠鏡と特殊な観測装置が必要です。
国立天文台のすばる望遠鏡では、コロナグラフという特殊な機能を持つ観測装置により、世界で初めて太陽によく似た星の周りの木星型惑星を直接撮像することに成功しました。次の目標は、木星型惑星よりはるかに小さくて暗い、地球型惑星の姿を直接とらえることです。口径30mのTMTでは、大幅に向上する解像度と感度をいかして、地球型惑星の直接撮像に挑戦します。
すばる望遠鏡でとらえられた、HR8799星のまわりの3つの木星型惑星(赤色の丸)。TMTではもっとずっと小さな、地球型惑星を直接とらえることをめざしています(クレジット:プリンストン大学カリス・チーム、国立天文台)
◆太陽系外惑星に生命はいるのか
次々と発見される太陽系外の惑星系の性質は多種多様で、太陽系に似た惑星系も存在しています。こうした太陽系外惑星に、生命が存在しているものがあるのでしょうか? 太陽系外惑星の大気を調べることによって、TMTはこの人類共通の大きな疑問に挑みます。
惑星大気の透過光を調べ、大気に有機物や光合成でできる酸素分子が見つかれば、その惑星に生命が存在する可能性が高まります
太陽系の起源と進化
◆地上の大望遠鏡が必要な観測今日では太陽系の果てにさえ探査機が到達し、鮮明な画像を見ることができるようになりました。それでもなお、関心のある研究対象にいつでも探査機を送ることができるわけではありませんし、搭載できる観測装置の大きさや重さにも制限があります。そこでTMTでは、太陽系の小天体や遠方の天体など、おもに暗い天体をターゲットとし、補償光学による髙空間分解撮像や、大集光力を活かした髙分散分光の観測を行うことが検討されています。
補償光学を使って木星の衛星イオを観測したときの見え方。左は従来の口径8~10m級の望遠鏡の場合、中央がTMTの場合のシミュレーション画像。右はガリレオ探査機が実際に撮影した画像(クレジット: T. Do/UCLA/IRIS)
◆太陽系始原天体
小惑星、彗星などの小天体は、太陽系の形成初期やその後の進化についての情報を保持しています。それらの大きさ、形状、自転速度などを高精度で測定して、内部構造や表面の組成・状態を推定し、衝突進化や物質進化の過程についての理解を深めようと考えています。彗星や小惑星はまた、地球の有機物や水の起源とも考えられています。TMTによる髙分散分光観測で、重水素などの同位体比を調べたり、彗星から昇華する水を直接観測することが検討されています。
◆惑星や衛星の表層
赤外線での観測で補償光学の技術を用いると、口径 30mのTMTではハッブル宇宙望遠鏡を 10倍以上も上回る解像度が得られます。オーロラなど、惑星や衛星の大気の構造や時間変動や、地表の構造や組成、時間変動なども、地上からつぶさに観測できるようになります。
冥王星と衛星カロンを補償光学を用いてTMTで観測した場合のシミュレーション(クレジット: IRIS/TMT/G. Walth)
すばる望遠鏡とともに解き明かす宇宙像
すばる望遠鏡とTMTの効果的な連携のありかたを検討し、サイエンスブックとしてとりまとめました。TMTプロジェクトウェブサイトからは、高解像度版や章ごとに分けた PDFファイルもダウンロードできますので、ぜひご利用ください。すばる+TMT サイエンスブック2020(PDF、11MB)
国際協力のなかで活躍が期待される若手研究者・技術者
◆若手研究者の育成TMTでは次代を担う研究者を育成するための国際研修会を開催しています。前回の研修会では、50名あまりの参加者が国際協力による大型計画に必要な管理や運営の手法、観測装置やソフトウェア開発などをTMTスタッフから学ぶとともに、グループごとに課題に取り組む機会が多く設けられました。多様な文化的背景をもつ人々が協力して一つの巨大望遠鏡計画を成功させるために何が必要なのか、参加者それぞれが考え実践する機会となりました。この研修会は今後も引き続き行われる予定です。
◆大学との協力による技術開発
TMTがファーストライトを迎えるとき、三つの第1期観測装置が稼働する予定です。それに続いて、高分散分光器や中間赤外線の撮像分光装置など、さらに多彩な装置が製作されることになっています。こうした観測装置は望遠鏡本体と同様、国際協力で技術開発が進められています。
日本でも国立天文台だけでなく、全国の大学の研究者や大学院生たちも積極的に参加しており、最先端の国際共同研究に貢献しています。
プロトタイプ観測装置の開発。東北⼤学では、⼤学院⽣を含む研究チームがカナダの⼤学と共同で、TMTに向けた補償光学の要素技術を開発しています。プロトタイプ装置をすばる望遠鏡に搭載して観測研究を実施しており、⼤学院⽣の博⼠論⽂や修⼠論⽂の研究課題にもなっています。ほかにも現在、北海道⼤学や東京⼤学、京都⼤学、⼤阪⼤学、京都産業⼤学、久留⽶⼤学などの研究者や⼤学院⽣たちが装置開発に参加しています。
◆国際科学検討チームISDTs
TMTの性能を最大限に活かした観測を検討するために、ISDTs(International Science Developement Teams)という国際的な枠組みが設けられています。ISDTsでは各分野の専門家がチームを組んで、TMTにしかできない観測や、TMTと他の望遠鏡を組み合わせることで大きな成果が得られそうな観測を検討しています。検討結果は望遠鏡と観測装置の仕様や運用方針を決定する上で重要な材料になります。メンバーの募集は毎年はじめに行われますので、興味のある方はぜひ参加をご検討ください。
ISDTs(TMT国際天文台ウェブサイト)
建設地ハワイ・マウナケアの自然と文化の尊重
TMTはハワイ・マウナケアに建設を予定しています。私たちはマウナケアの自然と文化的な営みを損なうことなくTMT計画を進めていきたいと考えています。より多くの方に理解を深めていただくために、ハワイ大学のマウナケア管理事務局(OMKM)が制作した“Maunakea Heritage and Natural Resources Guide”の日本語版制作を、OMKMの許可を得て行いました。ぜひ、お手にとってご覧ください。リーフレット(PDF、1.7MB)(OMKMウェブサイト)
マウナケアの環境保護、ハワイ文化の尊重と地域社会への貢献、次世代への教育支援のためにTMTが行っている様々な取り組みについては、以下の動画とTMTプロジェクトウェブサイトでもご紹介しています。
TMTとマウナケア(TMTプロジェクトウェブサイト)
TMTニュースレター
TMTプロジェクトの活動について、ニュースレターを通じて皆様にお知らせしています。 天文学研究者向けの内容ですが、どなたでもご覧いただけます。最新号(TMTプロジェクトウェブサイト)
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