日本地球惑星科学連合2021年大会

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セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS03] 台風研究の新展開~過去・現在・未来

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.02

コンビーナ:金田 幸恵(名古屋大学宇宙地球環境研究所)、和田 章義(気象研究所台風・災害気象研究部)、宮本 佳明(慶應義塾大学 環境情報学部)、伊藤 耕介(琉球大学)

17:15 〜 18:30

[AAS03-P05] 亜熱帯海域で発生する積乱雲の上昇気流と下降気流が反対方向に旋回するメカニズム

*唐澤 信司1 (1.宮城工業高等専門学校 名誉教授)

キーワード:台風、マッデン・ジュリアン振動、積乱雲 、貿易風、偏西風、太陽風

高気圧や低気圧の変化が4~5日で地球を一周しています。この東西方向に地球の自転より速く周回する大気の流れを太陽風が駆動していると考えました。太陽は重力が大きいので脱出速度が617.5km/secであり、太陽風は脱出速度を超える速度で太陽から放出されます。その際に、太陽風は太陽の自転により反時計方向で1.89km/secの回転運動の成分を持ちます。
太陽風の主成分は陽子であり、その水素イオンは地球の大気分子と衝突を繰り返すので、地球の地上には届きません。地球の重力では水素を保持できません。しかし、上空の大気には水素原子があって上空80 km付近に水素の密度のピークがあります。太陽風は地球の大気に衝突しています。地球の赤道付近の昼半球では太陽風が直撃して大気に衝突し、その際に太陽風持つ時計回転方向の回転の運動量が歯車のしくみにより、上空の大気を時計回転方向に移動させます。すなわち、地球の赤道付近の高層の大気は太陽風により時計回転方向に回転させられおり、それが貿易風となります.
地球の上空の大気と秒速で数百kmの速度で衝突しながら通り去る太陽風の効果があります。反時計回転方向に自転する地球の東側をすり抜ける太陽風は同じ方向に運動する大気と衝突するので自転する大気の流れを加速します。西側をすり抜ける太陽風は反対方向に運動する大気と衝突するので自転する大気の流れを避けて減速します。東側で太陽風が地球野大気の流れを加速する効果は西側の側面をすり抜けて減速の効果を陵駕します。そこで、地球の自転より速く上空大気を西から東に移動する偏西風が吹きます。亜熱帯地域の上空では偏西風の影響が強く貿易風が弱くなり、時計回転方向に気流を旋回させます。
東西方向に数千kmの雲群が赤道に沿って5m/sで東に進むMadden Julian Oscillation (MJO)では、積乱雲の底の東側で東から西に向かう上昇気流の風は弱く、西側の西から東に向かう上昇気流の風は強いですが、これは赤道付近で463m/secの反時計回転で西から東に移動する地球の自転の影響です。地球を周回する距離は赤道の付近より緯度は高い地域では周回距離が短くなり、一周する距離が短い緯度の高い地域では自転の周回速度が遅くなります。そこで、赤道付近を西から東に移動する赤道反流が速く、この赤道反流を両側に挟んで東から西に移動する赤道海流が流れます
北半球の亜熱帯海域で発生する積乱雲の下部の上昇空気は海流の運動により反時計回転方向に旋回します。そこで、積乱雲が発生すると上空で水蒸気が凝結して、時計回転の下降気流が発生します。このようにして、亜熱帯海域で発生する積乱雲の上昇気流と下降気流が反対方向に旋回するので台風が誕生します[1]。
[1]唐澤信司, “台風のメカニズム”, 2021, 27/Jan, https://youtu.be/SHZtHfTGfwo