[A-AS06] 成層圏・対流圏過程とその気候への影響

[AAS06-07] 成層圏突然昇温は熱帯対流活動を励起するか？～大規模アンサンブルシミュレーションからの視座～

★招待講演

*吉田 康平¹、水田 亮¹ (1.気象研究所)

キーワード：成層圏突然昇温、熱帯における成層圏対流圏結合、高解像度大規模アンサンブルシミュレーション

成層圏突然昇温（Sudden stratospheric warming; SSW）が熱帯対流圏、特に対流活動に与える影響について、多くの研究がなされてきた。しかしデータのサンプルサイズの小ささや熱帯対流圏自身の変動性の大きさから、SSWの熱帯対流圏への影響は未だ明瞭ではない。そこで本研究では、高解像度全球大気モデルによる大規模アンサンブルシミュレーションデータセットd4PDFを用いてSSWの熱帯対流圏影響について調べた。 SSWに伴い熱帯成層圏を中心に駆動される上昇流とともに熱帯成層圏における気温と安定度の低下が現れ、 同時に熱帯の外向き長波放射（OLR）など、 対流に関連した指標にも有意な増加が見られた。加えて、熱帯的圧に関連する活動度指標にも、統計的有意な増加が見られ、特に顕著な熱帯低気圧活動の相対頻度が30%程度上昇していることが示された。先行研究で指摘されている対流圏の波活動の影響についても議論する。