日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 成層圏・対流圏過程とその気候への影響

2021年6月3日(木) 10:45 〜 12:15 Ch.06 (Zoom会場06)

コンビーナ:木下 武也(海洋研究開発機構)、坂崎 貴俊(京都大学 大学院理学研究科)、高麗 正史(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻大気海洋科学講座)、江口 菜穂(Kyushu University)、座長:坂崎 貴俊(京都大学 大学院理学研究科)

11:40 〜 11:55

[AAS06-10] 成層圏QBOの熱帯対流活動を通じた南半球初冬の南極海氷への影響

*山崎 孝治1、中村 哲1 (1.北海道大学)

キーワード:南極海氷、成層圏準2年振動、ロスビー波伝播、熱帯対流、インド洋

南半球冬季に成層圏準2年振動(QBO)と南極海氷の間に統計的に有意な関係があることがわかった。QBOが東風位相の時は西風位相の時に比べてロス海、ウェッデル海、90E付近で南極海氷が増加する。この波数3の海氷パターンは6月、7月に明瞭にみられるが、8月には減衰する。一般に、海氷増大の領域は沖向きの風の領域に対応し、海氷減少領域は南極向きの風の領域に対応し、大気循環偏差が海氷偏差を駆動していることを示唆する。大気循環偏差は順圧的で地表風は上層循環と密接に関係している。上層循環偏差はインド洋から伝播するロスビー波束の形をしている。インド洋ではQBOが東風位相の時に対流活動が活発であり、この対流活動偏差がロスビー波を励起し、南極海氷偏差を作ったと考えられる。インド洋に熱源を置いた線形バランスモデルや大気大循環モデルの結果は観測結果を再現する。QBOはほぼ周期的な振動なので、冬季の南極海氷は1年前から予測可能性があると考えられる。