日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 成層圏・対流圏過程とその気候への影響

2021年6月3日(木) 13:45 〜 15:15 Ch.06 (Zoom会場06)

コンビーナ:木下 武也(海洋研究開発機構)、坂崎 貴俊(京都大学 大学院理学研究科)、高麗 正史(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻大気海洋科学講座)、江口 菜穂(Kyushu University)、座長:高麗 正史(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻大気海洋科学講座)

14:55 〜 15:10

[AAS06-17] 大規模アンサンブルデータを用いた成層圏のプラネタリー波束下方伝播の統計解析

*松山 裕矢1、廣岡 俊彦2 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)


キーワード:プラネタリー波束、下方伝播、波の活動度フラックス

松山・廣岡(2019, JpGU2019)は、過去60年にわたるJRA-55再解析データを用いて、北半球冬季成層圏内でのプラネタリー波束の下方伝播について調べた。この研究では、緯度円を45度ずつに区切った8つの経度領域に分け、30hPa面におけるPlumb(1985)の波活動度フラックス鉛直成分(WAFz)に対して、経度領域毎に閾値を定めることにより下方伝播事例を抽出し、下方伝播発生の地理的分布と、下方伝播発生時の高度場の特徴を示した。一方で、経度領域によっては統計解析に十分な事例数が得られなかった。そこで本研究では、大規模アンサンブルデータd4PDF(Mizuta et al., 2017)を用いて、下方伝播事例の統計解析を行った。事例抽出には、以下に述べる二つの方法を用いた。一つ目の方法は、松山・廣岡(2019)と同じである。この抽出方法では、JRA-55の場合と同様の結果が得られた。ただし、d4PDFには100メンバーという多量のデータがあるので、統計解析に十分な事例数が得られた。二つ目の方法では、各格子点において閾値を定め、事例を抽出した。この方法を用いると、前者の方法よりもより詳細な下方伝播発生分布が得られた。二つの方法で得られた地理的分布の大まかな特徴は似ていたが、下方伝播発生時の高度場の特徴には顕著な違いが見られた。