14:00 〜 14:15
[ACC26-02] 誘電テンソル計測によるドームふじアイスコアのファブリック解析
★招待講演
キーワード:氷床コア、ファブリック、誘電テンソル
ファブリック(結晶集合組織)は氷床コア解析における重要な物理パラメータの一つである。従来は氷薄片を用いて自動ファブリックアナライザーによる解析が行われてきた。しかしながら、氷薄片を大量に作成するには多大な労力と時間がかかるため、測定間隔は5-10mもしくはそれ以上になることが多い。また、氷薄片内に含まれる結晶数は1000個のオーダーであるため、測定間隔・結晶数の観点から代表的な値をどれくらい示しているのか疑問が残っていた。
我々は新たなファブリック解析の手法として、誘電テンソルの計測システムを開発してきた。この手法では数cm厚のバルクな氷試料を用いてファブリックを連続的かつ非破壊で測定可能であり、測定領域内には氷薄片と比べて2-3桁多い結晶粒が含まれている。多結晶氷はファブリックに応じた誘電異方性を持つことが知られており、氷床コア軸方向とその直角成分との間の誘電異方性を調べることによって、コア軸方向へのc軸集中度を見積もることが可能である。
本研究では開発したシステムを用いてドームふじコアの誘電テンソル測定を行った。鉛直スラブ試料を用いてコア軸方向へのc軸集中度を、水平ディスク試料を用いて水平面の異方性を測定した。一連の測定の結果、水平面の異方性は鉛直面の10-15%程度であることがわかった。ドームふじにおける応力場が完全な一軸圧縮の場合、水平面の異方性は生じないため、ドーム付近では圧縮場に加えて引張応力も作用していると考えられる。また、水平面における異方性分布はファブリックアナライザーによる薄片観察とよく一致していることがわかった。鉛直面の誘電異方性は深くなるにつれて増大する傾向を示した。これは従来の研究で報告されている転位クリープ変形に伴う結晶回転によるものと考えられる。本発表では誘電異方性の深度分布及び他の物理・化学パラメータとの関連性を議論する。
我々は新たなファブリック解析の手法として、誘電テンソルの計測システムを開発してきた。この手法では数cm厚のバルクな氷試料を用いてファブリックを連続的かつ非破壊で測定可能であり、測定領域内には氷薄片と比べて2-3桁多い結晶粒が含まれている。多結晶氷はファブリックに応じた誘電異方性を持つことが知られており、氷床コア軸方向とその直角成分との間の誘電異方性を調べることによって、コア軸方向へのc軸集中度を見積もることが可能である。
本研究では開発したシステムを用いてドームふじコアの誘電テンソル測定を行った。鉛直スラブ試料を用いてコア軸方向へのc軸集中度を、水平ディスク試料を用いて水平面の異方性を測定した。一連の測定の結果、水平面の異方性は鉛直面の10-15%程度であることがわかった。ドームふじにおける応力場が完全な一軸圧縮の場合、水平面の異方性は生じないため、ドーム付近では圧縮場に加えて引張応力も作用していると考えられる。また、水平面における異方性分布はファブリックアナライザーによる薄片観察とよく一致していることがわかった。鉛直面の誘電異方性は深くなるにつれて増大する傾向を示した。これは従来の研究で報告されている転位クリープ変形に伴う結晶回転によるものと考えられる。本発表では誘電異方性の深度分布及び他の物理・化学パラメータとの関連性を議論する。