日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG34] Global Carbon Cycle Observation and Analysis

2021年6月5日(土) 09:00 〜 10:30 Ch.08 (Zoom会場08)

コンビーナ:市井 和仁(千葉大学)、Patra Prabir(Research Institute for Global Change, JAMSTEC)、伊藤 昭彦(国立環境研究所)、座長:Prabir Patra(Research Institute for Global Change, JAMSTEC)、市井 和仁(千葉大学)

10:15 〜 10:30

[ACG34-06] パリ協定グローバルストックテイクに向けたマルチスケール温室効果ガス監視システムの構築

*伊藤 昭彦1,2、丹羽 洋介1、羽島 知洋2、三枝 信子1 (1.国立環境研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:地球温暖化、パリ協定、温室効果ガス収支

パリ協定で合意された温度上昇抑制目標を実現するには、人為的な温室効果ガス排出を大幅に削減する必要があり、その着実な達成のために最良の科学に基づく監視システムが必要とされている。日本では、2021年度より環境研究総合推進費(SII-8:温室効果ガス収支のマルチスケール監視とモデル高度化に関する統合的研究)を開始する。パリ協定では5年毎に各国の排出削減達成状況を確認し、その後の削減目標を見直す「グローバルストックテイク」が定められており、その第1回が2023年に実施される予定である。上記課題は、アジア地域を中心に各種観測を実施し、大都市から国地域、そしてグローバルな温室効果ガス収支評価を行うことでグローバルストックテイクに貢献することを目的としている。当課題は3つの主内容から構成されており、大気観測に基づくトップダウン評価、インベントリ・モデルに基づくボトムアップ評価、そして地球システムモデルを用いた実効性評価を実施する。従来にない特徴として、観測から1年以内にデータ処理とモデル推定までを遂行し、スピーディーな収支評価の報告を実現する。そのために観測体制の最適化、分析とデータ処理の効率化、モデル高度化などの研究を実施する。観測においては、地上ステーション、航空機、人工衛星など様々なプラットフォームを使用し、大都市においては高層タワーでの観測も実施する。目的に応じた複数のモデルを使用するのも本課題の特徴であり、大気輸送拡散モデル(NICAM)、地球システムモデル(MIROC)、陸域放出推定モデル(VISIT)などを適用するとともに、各モデルにおける温室効果ガス動態の再現性を検証・高度化する。これらの研究活動により、グローバルカーボンプロジェクトやIPCCなどの研究プログラム、そしてパリ協定などの環境政策に貢献することを目指す。本講演ではその概要を紹介する。