日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG35] 地球規模環境変化の予測と検出

2021年6月4日(金) 13:45 〜 15:15 Ch.08 (Zoom会場08)

コンビーナ:河宮 未知生(海洋研究開発機構)、立入 郁(海洋研究開発機構)、建部 洋晶(海洋研究開発機構)、V Ramaswamy(NOAA GFDL)、座長:建部 洋晶(海洋研究開発機構)、河宮 未知生(海洋研究開発機構)

14:15 〜 14:30

[ACG35-03] 非球形粗大粒子がエアロゾル放射効果に与える影響

*伊藤 彰記1、Adebiyi Adeyemi2、Huang Yue2、Kok Jasper2 (1.海洋研究開発機構、2.カリフォルニア大学)

キーワード:エアロゾル、地球システムモデル、放射効果

鉱物ダストエアロゾルは、短波および長波の光を吸収・散乱することにより、大気を冷やしたり温めたりする。しかし、地球システムモデルで予測されるダスト粒子の粒径分布と濃度の違いにより、エアロゾル放射効果の見積もりには多大な不確実性が存在する。本研究では、放射伝達モデュール(RRTMG)と結合した全球化学輸送モデル(IMPACT)を用いて(初期設定での予測)、観測データにより裏付けられた粒径ごとのダスト濃度と非球形補正係数を用いることで、ダスト予測を改善した(改善された予測)。
初期設定での予測では、550nmでのダストエアロゾル光学的深さ(DAOD550)の全球年間平均値を過小評価したが、改善された予測では、観測により制約された見積もりの範囲内となる。そこで、そのモデルを用いて、屈折率に対するダスト放射効果の感度実験を行う。より短波吸収が弱くより長波吸収が強い屈折率を用いた場合に、観測により制約された放射効果効率とのより良い一致結果が得られる。我々の感度実験により、改善された予測が全球規模で大気上端でのダスト放射効果を初期設定での予測と同程度に見積もったが、長波によるより強い温暖化効果により地表をより冷やしにくい結果が得られた。それゆえ、我々の結果は非球形粗大粒子が発生源付近でより弱い大気放射加熱効果をもたらすことを示唆する。