日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG35] 地球規模環境変化の予測と検出

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:河宮 未知生(海洋研究開発機構)、立入 郁(海洋研究開発機構)、建部 洋晶(海洋研究開発機構)、V Ramaswamy(NOAA GFDL)

17:15 〜 18:30

[ACG35-P01] 地球システムモデリングの方向性:統合的気候モデル高度化研究プログラムにおける検討

*河宮 未知生1、立入 郁1,2、羽島 知洋1、横畠 徳太2、筒井 純一3、荒川 隆4、井上 孝洋1,5 (1.海洋研究開発機構、2.国立環境研究所、3.電力中央研究所、4.高度情報科学技術研究機構、5.リモートセンシング技術センター)

キーワード:地球システムモデリング、カーボンバジェット、10年規模予測、地球の限界、気候変動に関する政府間パネル、気候変動

2017年度に開始した文部科学省による統合プログラムは2021年度に最終年度を迎える。JAMSTEC, 東大AORI、国立環境研究所など、日本の主要な気候予測研究機関からなる「チームMIROC」は、統合プログラムのもと、地球システムモデル MIROC-ES2Lを新たに開発した。これを用いてCMIP6実験を遂行し、ESGFを通じて出力データを配信しているほか、太平洋赤道域の海洋亜表層の再現性が改善されたことで、水温塩分を同化した際のエルニーニョと海面CO2フラックスの関係性が劇的に改善されることを示すなど、興味深い結果が得られている。こうした結果に基づき、統合プログラム(テーマB)以降の地球システム科学研究をどのように展開すべきか、統合プログラムに関与している科学者らで検討が進んでいる。重要な方向性として、「地球の限界」の概念で示されるような、気候変動以外の因子も考慮した包括的な地球環境変化予測があげられる。さらに、グローバルストックテイクへの貢献を見据え、直近と将来の数年間の炭素収支の変動を明らかにする炭素循環10年規模予測や「カーボンバジェット」の評価も推進すべき課題である。さらに、温暖化抑制のための政策が、土地利用変化などを通じて地球環境に与える影響については、社会経済モデルと地球システムモデルを結合したモデルで評価することで、社会変化と地球環境変化の相互作用を考慮して取り組むことができる。