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[ACG36-06] GOSAT-GW衛星による温室効果ガス及び大気汚染物質の排出観測:科学目標と政策貢献
キーワード:二酸化炭素、二酸化窒素、気候変動、大気汚染、メタン
2009年に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(もしくは「GOSAT」)以降、米国、中国、欧州において、主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)を観測する衛星が複数運用されるとともに、今後も各国による打上げが計画されている。我が国では、GOSATシリーズの3号機となる温室効果ガス・水循環観測技術衛星(Global Observing SATellite for Greenhouse gases and Water cycle: GOSAT-GW)計画が進められており、温室効果ガス観測センサ3型(Total Anthropogenic and Natural emissions mapping SpectrOmeter-3: TANSO-3)が搭載されてCO2,CH4に加え二酸化窒素(NO2)が観測される予定である。GOSAT-GW衛星は、広域モードと精密モードの二つを有し、精密モードでは3km以下の高い空間分解能での観測が予定されている。GOSAT-GWのミッションとしては、(1) 全大気温室効果ガスの月別平均濃度の監視、(2) 国別人為起源温室効果ガス排出量の検証、(3) 大規模排出源等の検知、の3つが求められており、GOSAT及びGOSAT-2に引き続いてCO2の全大気平均濃度を監視していくこと、パリ協定に基づいて世界各国が作成・公表するCO2及びCH4排出量の検証において正確性、透明性および信頼性を向上させること、NO2観測の援用により大都市や大規模固定排出源からの排出について未知の排出源の検知や推計の高精度化を行うこと、が科学的な目標となっている。こうした成果は、パリ協定のもとで実施されるグローバルストックテイク(5年毎に世界各国が報告する温室効果ガス削減取組の実施状況の確認。2023 年に第1回、2028 年に第2回が予定されている)において、各国が自ら設定する排出削減目標(Nationally Determined Contributions, NDC)を適切かつ野心的に目標設定する上で必要となる「現状の排出量の正確な把握」に重要な貢献となる。また、GOSAT-GWは、同様にCO2,CH4とNO2を計測するCO2Mよりも早く軌道に投入される予定で、グローバルストックテイクへの貢献を念頭に国際的な地球観測衛星と地上ネットワークの国際的な仮想システム(Committee on Earth Observation Satellites, CEOS)においても大きな役割が期待されている。