日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG36] 衛星による地球環境観測

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.06

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)

17:15 〜 18:30

[ACG36-P14] 衛星による降水量観測と地上稠密観測網による気象観測との比較分析

*岩下 久人1 (1.明星電気株式会社)

キーワード:稠密、地上観測、グランドトゥルース、GPM、DPR、GSMaP

一般的に地上気象観測器による気象観測データは少ないとされる。一方、衛星による降水量観測技術を高精度に維持させるためには、グランドトゥルースによる校正/検証が不可欠である。地上気象観測データは必ずしもグランドトゥルースデータではない。しかし、地上気象観測データの存在そのものには価値がある。

POTEKA (POint TEnki KAnsoku in Japanese)気象観測装置は気温、海面気圧、相対湿度、風速、風向、日射、感雨、降水量の気象要素が観測可能である。気温、海面気圧、相対湿度、風速、降水量の5つの要素は、気象庁検定を受けている。気象庁アメダスのように一様ではないが、2020年現在、日本全国にPOTEKA約900台が設置されており、局所的ながらも稠密な地上気象観測網が構築されている。アメダスの観測地点数が比較的少ない山間部などに、POTEKAが多く設置され観測網を構築している場合もある。またPOTEKA観測開始時期は一番早い地点でも2013年であり、40年以上も常時観測を続けるアメダスに比べると観測期間は短いが、観測地点によっては複数年統計を持つPOTEKAも存在する。

GPM (Global Precipitation Measurement) / DPR (Dual-frequency Precipitation Radar)やGSMaP (Global Satellite Mapping of Precipitation)などの衛星降水量観測データに対するPOTEKA地上降水量観測データの比較分析はこれまでも実施してきた。空間的にも時間的にもピンポイントの比較であり、決して普遍的なものではなかったが、高標高の山間部における降水現象や線状降水帯などの局地的大雨が発生しやすい梅雨期の降水現象に対する衛星側の過小評価 (Underestimation)が確認された場合もあった。

今後も引き続き、衛星とPOTEKAとの降水量比較分析を実施していく。特に、衛星側の過小評価が確認された降水現象に対しては重点的に比較分析を行い、衛星降水量観測の高精度維持のための知見を得たい。また、地上稠密気象観測網でダウンバーストや竜巻などの希有な局地的気象変化が捉えられた場合も、衛星とPOTEKAとの降水量比較分析を実施し希有な気象変化に対する知見を得たい。