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[ACG37-P01] スギ人工林における皆伐後3年間の土壌呼吸速度と土壌有機物の変化
キーワード:リター、枯死根、土壌炭素
森林の皆伐は、リターや枯死根が一時的に大量に供給され、その後は著しく低下するなど、土壌中の炭素動態を大きく変化させる。本研究では、東京農業大学奥多摩演習林スギ人工林の2017年5月に皆伐したスギ人工林に調査区を設け、2017年5月から2019年8月まで土壌呼吸速度と地表リター量、枯死根量、土壌炭素量を定期的に測定し、皆伐初期の炭素動態を調べた。調査区には20カ所の土壌呼吸測定地点(測点)を設置し、およそ3か月おきに測点内からリターと深さ0-5 cmの土壌を採取した。試料採取後に新たな地点に測点を設置し直した。調査区では年1回の下刈りを行い、測点設置から移動までの3か月間で測点内に進入した草本は随時取り除いた。
深さ5cmの地温と土壌呼吸速度の関係から求めた地温20℃の時の土壌呼吸速度R20は、皆伐後1年目の2017年と比べて2018年と2019年に有意な低下傾向は認められなかった。測点内のスギの細根の枯死根量は、皆伐前の細根量(0.33±0.27 t ha-1)に比べて、2018年5月まで減少傾向は認められなかった。その後2018年9月から2019年8月までの枯死根量は、皆伐前の35.7-52.0%に有意に低下した。スギの葉リター量は、皆伐前に6.24±1.98 t ha-1であったのに対し、皆伐後3か月目(2017年8月)には2.03±1.74 t ha-1まで有意に低下しており、皆伐後の地拵えの影響を受けた可能性が考えられた。2018年3月以降のスギの葉リター量は、2017年8月の20.9-54.9%であり、有意に低下した。皆伐後3年目の土壌呼吸速度が皆伐後1年目に比べて低下しなかったことは、リターや枯死根による土壌への有機物の継続的な供給の影響が考えられた。
深さ5cmの地温と土壌呼吸速度の関係から求めた地温20℃の時の土壌呼吸速度R20は、皆伐後1年目の2017年と比べて2018年と2019年に有意な低下傾向は認められなかった。測点内のスギの細根の枯死根量は、皆伐前の細根量(0.33±0.27 t ha-1)に比べて、2018年5月まで減少傾向は認められなかった。その後2018年9月から2019年8月までの枯死根量は、皆伐前の35.7-52.0%に有意に低下した。スギの葉リター量は、皆伐前に6.24±1.98 t ha-1であったのに対し、皆伐後3か月目(2017年8月)には2.03±1.74 t ha-1まで有意に低下しており、皆伐後の地拵えの影響を受けた可能性が考えられた。2018年3月以降のスギの葉リター量は、2017年8月の20.9-54.9%であり、有意に低下した。皆伐後3年目の土壌呼吸速度が皆伐後1年目に比べて低下しなかったことは、リターや枯死根による土壌への有機物の継続的な供給の影響が考えられた。