14:00 〜 14:15
[ACG38-08] 降下式音響ドップラー流速計(LADCP)で観測されたインド洋の近慣性周期海洋内部波動
キーワード:海洋内部波、慣性周期波、海洋観測
海洋の内部重力波の周波数スペクトルを観測すると、多くの海域でその地点での慣性周期の付近にピークを持つことが知られている。この近慣性内部重力波は、表層を吹く風・すでに存在する内部重力波の多波非線形相互作用・海底地形に衝突する海流・渦の非平衡調節などの様々な要因で発生しうるためにあらゆる海域で観測されうる。ただし、発生機構が非定常なこともあり時空間的に極度に間欠性をもって存在しており観測は難しい。しかも内部波の偏光関係に従いほぼ水平方向の運動しか生じず広く使われる温度塩分圧力プロファイラ(CTD)による鉛直方向変位の観測では見えにくい。ここでは船舶による CTD 観測と同時に行われる降下式音響ドップラー流速計(LADCP)を用いて近慣性波を観測することを試みる。スペクトルピークを持つことから LADCP で観測される流速は慣性周期波にノイズ(他の周期の内部波や地衡流)が重なったものと大胆に仮定してみる。するとある深度では降下時と上昇時の二回に南北方向・東西方向と二成分の観測データが得られるので周波数を慣性周期に固定すれば内部波の振幅と位相を推定することができる。
インド洋における LADCP データにこの方法を用いた。東経 55 度の観測線を例にとれば一度の CTD 観測は 4 時間程度であり慣性周期 24 時間の南緯 30 度より極側で近慣性内部波が捉えられた。群速度は上向きより下向きのほうが頻度が高く、表層の風が起源であることと矛盾しない。推定される波長は 2000 m 以上のものが多く鉛直低次モードの構造をもつ。振幅は流速で cm/s のオーダーであった。一方で上向き群速度の波は無視できるほど少なくないわけではなく、深さも海面近くや海底近くに限られない。風以外の発生源も重要であることが示唆される。
インド洋における LADCP データにこの方法を用いた。東経 55 度の観測線を例にとれば一度の CTD 観測は 4 時間程度であり慣性周期 24 時間の南緯 30 度より極側で近慣性内部波が捉えられた。群速度は上向きより下向きのほうが頻度が高く、表層の風が起源であることと矛盾しない。推定される波長は 2000 m 以上のものが多く鉛直低次モードの構造をもつ。振幅は流速で cm/s のオーダーであった。一方で上向き群速度の波は無視できるほど少なくないわけではなく、深さも海面近くや海底近くに限られない。風以外の発生源も重要であることが示唆される。