日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG38] 海洋と大気の波動・渦・循環の力学

2021年6月6日(日) 13:45 〜 15:15 Ch.10 (Zoom会場10)

コンビーナ:田中 祐希(福井県立大学 海洋生物資源学部)、青木 邦弘(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、久木 幸治(琉球大学)、杉本 憲彦(慶應義塾大学 法学部 日吉物理学教室)、座長:久木 幸治(琉球大学)、杉本 憲彦(慶應義塾大学 法学部 日吉物理学教室)、田中 祐希(福井県立大学 海洋生物資源学部)

14:15 〜 14:30

[ACG38-09] 潮汐混合によってインドネシア通過流の流量増加が起こる経路

*白石 健気1、木田 新一郎2、佐々木 英治3、古恵 亮3 (1.九州大学総合理工学府、2.九州大学・応用力学研究所、3.海洋研究開発機構アプリケーションラボ)

キーワード:インドネシア通過流、潮汐混合、OFES2

インドネシア通過流(ITF)は、太平洋とインド洋の間に存在するインドネシア多島海を太平洋からインド洋へと通過する海流である。インドネシア多島海の海底地形は複雑なため、この海域では潮汐によって活発な鉛直混合が励起されていると考えられている。Sakaki et al. (2018) ではOFES2から潮汐混合スキームの有無によってITF流量が、潮汐がある場合に0.88 Sv増加することが示されたが、その要因は特定出来ていない。本研究の目的は潮汐混合によってITF流量が増加するメカニズムを解明するため、流量増加が起こる経路を特定することである。まずインドネシア多島海の周辺海域をCelebes Sea、Makassar Strait、Molucca Sea等のように7つの区画に分割し、潮汐混合によって増加した流量の収支バランスを計算した。ITFの増加分は下層から上層へと多島海で起こる湧昇、そしてフィリピン東沖からMakassar Straitから流入する上層の流れで形成されていることを示していた。この上層の流れは太平洋の外洋域で起きた潮汐混合によるものであると考えられる。