日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG39] 北極域の科学

2021年6月4日(金) 13:45 〜 15:15 Ch.11 (Zoom会場11)

コンビーナ:中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、小野 純(海洋研究開発機構)、島田 利元(宇宙航空研究開発機構)、両角 友喜(北海道大学 大学院農学研究院)、座長:中村 哲(北海道大学大学院地球環境科学研究院)、Jun Ono(海洋研究開発機構)、両角 友喜(北海道大学 大学院農学研究院)、島田 利元(宇宙航空研究開発機構)

14:00 〜 14:15

[ACG39-14] カナダ海盆におけるアラゴナイト未飽和水体積の経年変化

*辻本 晴香1、川合 美千代1、張 圓昕1 (1.東京海洋大学)

北極海カナダ海盆では、表層は海洋酸性化や海氷融解水による希釈の影響で、亜表層は海洋酸性化と太平洋起源水の増加でアラゴナイト未飽和水が拡大している。本研究では、2003年から2019年のカナダ海盆におけるアラゴナイト未飽和水について、その鉛直分布と中央部における体積の経年変化を調べた。

分布については、表層、亜表層ともに未飽和水の厚さが有意に増加していた。亜表層についてはアラゴナイト飽和水の存在深度が深くなっていることも分かった。

体積については、2003年から2019年にかけて表層では11倍、亜表層では1.5倍に増加していた。さらに体積変化のうち酸性化による変化量を算出した。その結果表層では希釈による未飽和水が2000年代後半で多く、2016年以降では酸性化による未飽和水が多いことがわかった。亜表層では2003年から2019年の体積増加量のうち76%が酸性化によるもの、24%が太平洋水の拡大によるものであった。

以上のように本研究の結果、カナダ海盆のアラゴナイト未飽和水の体積は有意に増加しており、海洋酸性化がその主な原因であることが分かった。