日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG41] 沿岸海洋生態系─2.サンゴ礁・藻場・マングローブ

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.07

コンビーナ:梅澤 有(東京農工大学)、宮島 利宏(東京大学 大気海洋研究所 海洋地球システム研究系 生元素動態分野)、渡邉 敦(笹川平和財団 海洋政策研究所)、樋口 富彦(東京大学大気海洋研究所)

17:15 〜 18:30

[ACG41-P09] 窒素負荷の違いがアマモ(Zostera marina)の化学組成と分解特性に与える影響評価

*宮田 達1、梅澤 有1、井田 拓成1、堀川 祥生1、渡辺 誠1、和田 茂樹2、仲岡 雅裕3、桑江 朝比呂4 (1.東京農工大学、2.筑波大学、3.北海道大学、4.港湾空港技術研究所)

キーワード:ブルーカーボン、窒素負荷、難分解性有機物、アマモ

窒素は、植物の一次生産量を律速する可能性のある元素の1つであり、窒素供給量の増加は沿岸域の生物生産を増加させる可能性がある。いっぽうで、光合成や呼吸、同化などの成長や分化に直接に関与しないフェノール性化合物などの二次代謝物には、捕食者や病原菌に対する防御化合物として作用するものがあり、陸域の高等植物の中には、これらの物質の存在量が窒素の供給量によって異なることが報告されている。したがって、窒素の供給量の違いは、これらの植物の成長量だけでなく、草体の生物分解特性に寄与する可能性がある。本研究では、日本の沿岸域に広く分布するアマモ(Zostera marina)に着目し、窒素供給環境の違いがブルーカーボンとしての機能に与える影響について考察することを目的に行った下記の調査結果について報告を行う。


1)携帯式簡易窒素計によるアマモ葉中の窒素含有率の推定

 陸域の草本用の複数の携帯式簡易窒素計の計測値と、アマモ草体の部位別のクロロフィル量および窒素含有率を比較し、実測値の推定にも有効に利用できる条件について考察した。


2)アマモの構造性物質やフェノール性忌避物質の含有量に与える影響評価

 窒素供給環境の異なる沿岸域より採取したアマモに陸上植物に使用されるWise処理やFolin-ciocauteu法を用い、アマモ草体の構造物質量および忌避物質量を評価し、窒素供給環境の違いがその生成量に与える影響について考察した。

 
3)実際の海洋環境を想定した分解培養実験

 窒素供給環境が異なる地点より採取したアマモを条件別に培養することで、窒素負荷が分解特性に与える影響について考察した。