15:45 〜 16:00
[ACG42-08] 日本沿岸海況監視予測システムにおける河川流出の高度化に向けて
★招待講演
キーワード:沿岸モデル、現業海洋学、河川流出、日本沿岸海洋
気象庁は、日本沿岸海況の詳細な把握を目的に「日本沿岸海況監視予測システム」(JPNシステム)の現業運用を2020年10月に開始した。本システムは気象研究所によって開発され、日本周辺の広域を約2kmの水平解像度で覆うJPNモデルと、四次元変分法データ同化システムによって構成される。JPNモデルには潮汐や気圧応答など沿岸の主要なプロセスが導入され、現実海洋と直接に比較しうる海洋シミュレーションが可能である。JPNシステムの運用開始により、沿岸の詳細な流れ場など新しい海洋情報が気象庁から提供されることになり、我々としても産官学の海洋コミュニティに広く利活用されるのを期待している。気象庁によるJPN速報解析・予測データは気象業務支援センターから取得できるのに加えて、2008年からの長期再解析データも気象研究所から提供中である。( https://mri-ocean.github.io/mricom/mri.com-user_jpn_start.html )
JPNシステムには主要な沿岸海洋過程が導入されているものの、システムの仕様にはまだ改善の余地がある。その1つに、モデル中の河川流入に一級河川の日別気候値データを用いており、現実の時間変動が考慮されてない問題がある。これにより、大雨による大出水時に河口域で形成される低塩水プリュームはJPNシステムでは再現できない。そこで我々は、JPNシステムの今後の改善を目的に、リアルタイムの河川流出データを導入する実験を行った。具体的には、浦川他(測候時報海洋気象特集, 2016)にならい、気象庁の洪水警報に活用される流域雨量指数をもとに推定した、全国3986河川の1時間毎流量を用いてJPNモデルを駆動した。まず、長期フリーラン実験により、この河川データにより瀬戸内海の平均的な海面塩分場が現実的に再現されることを確かめた。次に、データ同化による初期値を用いたハインドキャスト実験を行い、2011年9月の台風通過後の海況を再現した。大阪湾奥では、淀川の大出水により表層に低塩プリュームが発達し、表層塩分は5psu以上も低下した。この結果は大阪湾沿岸の連続塩分観測と整合している。これらの成果は、JPNシステムにおける河川流出の改善の可能性を示している。今後は、解像度数百mにダウンスケーリングした大阪湾モデルを用いて、大出水時の低塩プリュームを再現する実験を計画している。
JPNシステムには主要な沿岸海洋過程が導入されているものの、システムの仕様にはまだ改善の余地がある。その1つに、モデル中の河川流入に一級河川の日別気候値データを用いており、現実の時間変動が考慮されてない問題がある。これにより、大雨による大出水時に河口域で形成される低塩水プリュームはJPNシステムでは再現できない。そこで我々は、JPNシステムの今後の改善を目的に、リアルタイムの河川流出データを導入する実験を行った。具体的には、浦川他(測候時報海洋気象特集, 2016)にならい、気象庁の洪水警報に活用される流域雨量指数をもとに推定した、全国3986河川の1時間毎流量を用いてJPNモデルを駆動した。まず、長期フリーラン実験により、この河川データにより瀬戸内海の平均的な海面塩分場が現実的に再現されることを確かめた。次に、データ同化による初期値を用いたハインドキャスト実験を行い、2011年9月の台風通過後の海況を再現した。大阪湾奥では、淀川の大出水により表層に低塩プリュームが発達し、表層塩分は5psu以上も低下した。この結果は大阪湾沿岸の連続塩分観測と整合している。これらの成果は、JPNシステムにおける河川流出の改善の可能性を示している。今後は、解像度数百mにダウンスケーリングした大阪湾モデルを用いて、大出水時の低塩プリュームを再現する実験を計画している。