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[ACG42-P01] 地球システムモデルの枠組みでの陸域水動態の表現
キーワード:地球システムモデル、陸域水動態
気候変動や地球環境変動の予測に用いられる地球システムモデル(GCMやESM)では、陸域サブモデルのプロセスは鉛直1次元で表現されており、大気モデルの下端境界条件を与える役割を担っている。また、河川サブモデルが陸域からの流出を河道網に沿って海洋まで輸送することで、大気・陸域・海洋をめぐる地球水循環システムを表現する。このように地球システムモデルでは鉛直1次元+河川1次元で単純化されて表現されているが、本来の陸域水動態は河川からの氾濫・地表流・地下水流など水平方向のダイナミクスが存在し、それらは水面形成・土壌などの輸送と地形変化・土壌水分の再配分と植生分布などを通して大気陸面相互作用や地球物質循環にも影響し、気候システムとも相互作用をしうるものである。しかし、これらの陸域水動態プロセスは地形起伏といったローカルな条件に規定されるため、空間スケールの違いからグローバルな地球システムモデルの枠組みで表現することが難しかった。一方で近年になり、地球全域を対象にした陸域モデルにおけるサブグリッド物理の表現の研究が進み、また高精度の全球地形データなどの整備が進んだことで、低解像度格子を用いたままで河川氾濫や斜面による水分再配分といった詳細プロセスを表現することが可能になりつつある。JpGUでは著者らの研究成果を中心に地球規模での陸域水動態のモデリングに関する近年の動向をレビューし、地球システムモデルを用いた環境変動予測への応用可能性を議論する。