17:15 〜 18:30
[ACG42-P03] 令和元年台風第19号による阿武隈川から海岸への土砂流出解析
キーワード:長期土砂動態、土砂供給量、1次元混合粒径河床変動解析モデル、阿武隈川
2019年10月に発生した令和元年台風第19号の記録的な大雨により,阿武隈川流域では大量の土砂が流出した.阿武隈川ではこのような大規模出水が数年に1度の頻度で発生しており,土砂流出が河床形状や下流域の流砂量に与える影響を明らかにすることは,河川・海岸管理の観点から重要である.本研究では阿武隈川における長期間の土砂流出特性を明らかにするため,河道横断形状を考慮した1次元混合粒径河床変動解析モデルを用いて阿武隈川下流域の長期的な土砂動態を計算し,海岸への土砂供給量を粒径毎に推定することを目的とする.
対象とした阿武隈川は,流域面積5390km²,幹川流路延長239kmの一級河川である.水源は福島県旭岳に発し,平野部と狭窄部を交互に経て角田盆地に流れ込み,最大支川の白石川と合流して太平洋に流れ込む.計算区間は阿武隈渓谷下流の丸森から荒浜までの36.4kmとし,計算区間の河床勾配は1/3700~1/2000程度である.対象とした出水は水位・流量データが入手可能な2000年~2019年の内,概ね土砂移動が開始する流量1000m³/sを超える47出水である.初期河床位は1999年の実測河床位(国土交通省東北地方整備局提供)を用い,縦断方向0.2km毎の各横断面に101点の河床位を与えた.上流端流量は丸森水位観測所のデータを,下流端水位は荒浜水位観測所のデータを用いた.また,白石川流量は合流部から約6km上流に位置する船岡大橋水位観測所のデータを用いた.河床材料の粒度分布については2002年の実測値(国土交通省東北地方整備局提供)を用いた.計算結果は,1999~2007年の岩沼水位観測所で3000m³/sを記録した7出水に伴う土砂流出量の推定値を用いて検証した.
1次元河床変動モデルの検証を行うため,1999~2007年の7出水に伴う土砂流出量の解析結果と推定値を比較したところ,出水規模が大きいほど細砂(0.075~0.25mm)の流出量について過大評価する傾向があるものの、その他の粒径についての解析結果は概ね良好であり,本モデルによって阿武隈川の土砂流出の検討が可能であると判断した.年平均土砂流出量は細砂が約14万m³,中砂(0.25~0.85mm)が約3万m³,粗砂(0.85~2mm)が約0.3万m³,合計で約18万m³/yearであり,令和元年台風第19号では,細砂が約24万m³,中砂が約14万m³,粗砂が約2万m³,合計で約40万m³の土砂が河川から海岸へ供給されたと推定された.
対象とした阿武隈川は,流域面積5390km²,幹川流路延長239kmの一級河川である.水源は福島県旭岳に発し,平野部と狭窄部を交互に経て角田盆地に流れ込み,最大支川の白石川と合流して太平洋に流れ込む.計算区間は阿武隈渓谷下流の丸森から荒浜までの36.4kmとし,計算区間の河床勾配は1/3700~1/2000程度である.対象とした出水は水位・流量データが入手可能な2000年~2019年の内,概ね土砂移動が開始する流量1000m³/sを超える47出水である.初期河床位は1999年の実測河床位(国土交通省東北地方整備局提供)を用い,縦断方向0.2km毎の各横断面に101点の河床位を与えた.上流端流量は丸森水位観測所のデータを,下流端水位は荒浜水位観測所のデータを用いた.また,白石川流量は合流部から約6km上流に位置する船岡大橋水位観測所のデータを用いた.河床材料の粒度分布については2002年の実測値(国土交通省東北地方整備局提供)を用いた.計算結果は,1999~2007年の岩沼水位観測所で3000m³/sを記録した7出水に伴う土砂流出量の推定値を用いて検証した.
1次元河床変動モデルの検証を行うため,1999~2007年の7出水に伴う土砂流出量の解析結果と推定値を比較したところ,出水規模が大きいほど細砂(0.075~0.25mm)の流出量について過大評価する傾向があるものの、その他の粒径についての解析結果は概ね良好であり,本モデルによって阿武隈川の土砂流出の検討が可能であると判断した.年平均土砂流出量は細砂が約14万m³,中砂(0.25~0.85mm)が約3万m³,粗砂(0.85~2mm)が約0.3万m³,合計で約18万m³/yearであり,令和元年台風第19号では,細砂が約24万m³,中砂が約14万m³,粗砂が約2万m³,合計で約40万m³の土砂が河川から海岸へ供給されたと推定された.