日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW21] 地域の気候変動適応策を支える学際研究

2021年6月5日(土) 09:00 〜 10:30 Ch.13 (Zoom会場13)

コンビーナ:手計 太一(富山県立大学)、Sompratana Ritphring(Kasetsart University)、Masashi Kiguchi(University of Tokyo)、weerakaset Suanpaga(Associate professor in Civil Engineering,Kasetsart University)、座長:手計 太一(富山県立大学)、Masashi Kiguchi(University of Tokyo)

10:00 〜 10:15

[AHW21-05] タイにおけるディープラーニングによるS2S予測への挑戦

*長谷川 青春1、鼎 信次郎1 (1.東京工業大学)


キーワード:深層学習、1か月降水予測、タイ、CMIP5、海面水温、ECMWF

Subseasonal to seasonal prediction(S2S予測)は未だ水文気象予測に残された難問の1つである.S2S予測とは1か月から数か月にわたるリードタイムを指し,予測精度が急激に低くなることが知られている. 強力な統計モデルの一つである深層学習は,時空間的局所領域に特化した予測が可能であり,S2S予測への適用が期待されている.
本研究では洪水緩和のためにダム管理への長期降水予測導入が急務であるタイ,チャオプラヤー川流域を対象に5~10月までの雨季にかけて1ヶ月降雨予測を行なった.深層学習モデルは,海面水温と潜在海水温の全球マップを入力値とし構築されている.この際,65程度しかない観測データを,CMIP5データセットを用いて2500程度まで拡張することで,モデルの適切な学習を実現可能にしている.
深層学習モデルの予測精度を気候モデル,線形モデルそれぞれの精度と比較した.結果,深層学習モデルは現在最も精度の良い気候モデルにやや劣るものの,線形モデルよりも高い予測精度を示した.さらに,CMIP5データセットのみで学習した場合最も高い予測精度を示し,深層学習モデルが将来的に気候モデルを上回る可能性を示した.