17:15 〜 18:30
[AHW21-P06] タイ国チャオプラヤー川感潮域の塩分分布を再現する数値モデルの構築
本研究の目的はタイ国Chao Phraya川下流域の塩水遡上の実態を解明することである.沿岸低平地において,気候変動による海面上昇は塩水の遡上範囲の拡大を引き起こす。その結果,河川の汽水域を取水源としている地域では,原水取水障害が発生するリスクが生じる.
熱帯モンスーン気候に属するタイの河川流量の季節変動は大きい.沿岸域に位置するBangkok首都圏の75%の水道水は,沿岸低平地を流れるChao Phraya川から取水される.取水場はChao Phraya川の河口から95.1km上流の汽水域に位置しており,河川流量が少ない時期に取水障害の影響を受ける.そこでタイ国Chao Phraya川下流域を対象として,河川の塩分分布を再現する数値モデルの構築を行った.
本研究では, k-ε 乱流モデルを基礎とした3次元環境流体モデルFantomを用いた.河川縦断方向の構造は,超音波測深器(DT-X)による現地の河川縦断測量河床高である.河川横断方向の構造は,一定の上流端河幅である.使用したデータは,超音波ドップラー流向流速計(ADCP)による流速観測データと定期的な水質分析データとMWAが観測している水質モニタリングデータである.計算期間は、2018年1月から2019年12月までの2年間である.上流端の境界条件は河口から287.4km上流にあるChao Phrayaダムの放流量(m³/s)であり,水質に関する境界条件は観測最低塩分の0.1(‰)である.下流端の境界条件は,河口の水位(m MSL.)であり,水質に関する境界条件はタイ湾の平均塩分の30(‰)である.気象条件は,タイ気象局の観測所が設置されているBang Naの毎正時の風速(m/s),気温(℃),相対湿度(‰),気圧(Pa),降雨量(mm)である.
再現計算の結果,乾期の取水場での塩分濃度ピークと底層付近の流体塊は再現することができた.しかし,塩分濃度のピークタイミングや定量的な再現には至っていない.
本研究の数値モデルは,定性的な塩分の季節変化を再現することができた.今後,気候変動の実験結果を利用して,将来の取水リスクを分析する必要がある.
熱帯モンスーン気候に属するタイの河川流量の季節変動は大きい.沿岸域に位置するBangkok首都圏の75%の水道水は,沿岸低平地を流れるChao Phraya川から取水される.取水場はChao Phraya川の河口から95.1km上流の汽水域に位置しており,河川流量が少ない時期に取水障害の影響を受ける.そこでタイ国Chao Phraya川下流域を対象として,河川の塩分分布を再現する数値モデルの構築を行った.
本研究では, k-ε 乱流モデルを基礎とした3次元環境流体モデルFantomを用いた.河川縦断方向の構造は,超音波測深器(DT-X)による現地の河川縦断測量河床高である.河川横断方向の構造は,一定の上流端河幅である.使用したデータは,超音波ドップラー流向流速計(ADCP)による流速観測データと定期的な水質分析データとMWAが観測している水質モニタリングデータである.計算期間は、2018年1月から2019年12月までの2年間である.上流端の境界条件は河口から287.4km上流にあるChao Phrayaダムの放流量(m³/s)であり,水質に関する境界条件は観測最低塩分の0.1(‰)である.下流端の境界条件は,河口の水位(m MSL.)であり,水質に関する境界条件はタイ湾の平均塩分の30(‰)である.気象条件は,タイ気象局の観測所が設置されているBang Naの毎正時の風速(m/s),気温(℃),相対湿度(‰),気圧(Pa),降雨量(mm)である.
再現計算の結果,乾期の取水場での塩分濃度ピークと底層付近の流体塊は再現することができた.しかし,塩分濃度のピークタイミングや定量的な再現には至っていない.
本研究の数値モデルは,定性的な塩分の季節変化を再現することができた.今後,気候変動の実験結果を利用して,将来の取水リスクを分析する必要がある.