日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW22] 流域生態系における物質輸送と循環:源流から沿岸まで

2021年6月4日(金) 10:45 〜 12:15 Ch.12 (Zoom会場12)

コンビーナ:前田 守弘(岡山大学)、入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、小野寺 真一(広島大学大学院先進理工系科学研究科)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)、座長:小野寺 真一(広島大学大学院先進理工系科学研究科)

11:15 〜 11:30

[AHW22-08] 亜熱帯島嶼の持続可能な水資源利用に向けた参画・合意に基づく流域ガバナンス - SDGsの達成への貢献-

*安元 純1、新城 竜一2、Razafindrabe Bam1、土岐 知弘2、澤田 和子3、細野 高啓4、Hermawan Oktanius5、中屋 眞司6、高田 遼吾7、中川 啓8、利部 慎8、田原 康博9、村井 敦子9、安元 剛10、水澤 奈々美10、丸山 莉緒10、廣瀬 美奈11、井口 亮12、飯島 真理子12、宋 科翰13、相澤 正隆13 (1.琉球大学 農学部、2.琉球大学 理学部、3.琉球大学 戦略的研究プロジェクトセンター、4.熊本大学大学院 先端科学研究部、5.熊本大学大学院 自然科学教育部、6.信州大学 工学部、7.信州大学大学院 総合医理工学研究科、8.長崎大学 環境科学部、9.(株)地圏環境テクノロジー、10.北里大学 海洋生命科学部、11.(一社)トロピカルテクノプラス、12.産業技術総合研究所、13.琉球大学大学院 理工学研究科)

キーワード:流域ガバナンス、持続的な水資源利用、亜熱帯島嶼

亜熱帯島嶼の水資源は,産業構造の変化や気候変動などの様々なストレスに対する脆弱性が極めて高い。そのため,近年では,地下水など水資源の枯渇や汚染が大きな社会課題となっている。地下水の汚染は水循環を介してサンゴ礁生態系を劣化させ,生態系サービスの低下も引き起こす。この社会課題の原因に,【A】地下水の流れや汚染物質の発生・輸送プロセスの把握や可視化とサンゴ礁生態系劣化のメカニズムの理解が不十分であること,【B】その科学的情報を社会に分かりやすく伝え活用するための仕組みが構築されていないことの2つが挙げられる。
 本プロジェクトでは沖縄島南部に位置する八重瀬町を対象としている。八重瀬町の主要な水資源は地下水であり,その地下水は非常に不均一性の高い琉球石灰岩に賦存されている。八重瀬町では,地下水を貴重な飲料水源や農業用水として利用してきたが,近年,硝酸性窒素等による地下水汚染が顕在化しており,その対策は喫緊の課題である。
 亜熱帯島嶼における水資源の持続可能な利用には,地下水の流れや汚染物質の発生・輸送プロセスの定量的な把握が必要である。さらにそれらの科学的情報を可視化できれば,地域住民に水資源の現状を分かりやすく伝えることが可能となる。あわせて,それらのデータを共有することで,ステークホルダー間の合意形成に基づいた,汚染物質の効果的な負荷軽減対策の立案や実施が容易となる。それらは汚染物質の負荷低減策の評価にも有効である。
 本発表では【A】地下水の流れや汚染物質の発生・輸送プロセスの把握と可視化及びサンゴ礁生態系劣化のメカニズムに関する研究成果を簡潔に紹介する。