日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW22] 流域生態系における物質輸送と循環:源流から沿岸まで

2021年6月4日(金) 13:45 〜 15:15 Ch.12 (Zoom会場12)

コンビーナ:前田 守弘(岡山大学)、入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、小野寺 真一(広島大学大学院先進理工系科学研究科)、Adina Paytan(University of California Santa Cruz)、座長:入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)

14:45 〜 15:00

[AHW22-16] 蔵王・御釜における水・熱・化学物質収支から見た地下水流動系の解明

*知北 和久1、後藤 章夫2、岡田 純3、三浦 哲4、山本 希4 (1.北海道大学北極域研究センター、2.東北大学東北アジア研究センター、3.気象庁 気象研究所、4.東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター)

キーワード:御釜、水収支、化学成分収支、熱収支、地殻熱流量

蔵王火山における地下水流動系を探る目的で,火口湖・御釜(湖面標高1550 m;湖水面積0.08 km2)における地下水流入量と流出量をその水・化学物質収支から定量的に評価した。なお,御釜のpHは3.2 - 3.7で,最深点は約24 mである。今回の収支期間は2020年6月~10月で,同期間に船上でのプロファイラー観測,水温連続観測,採水・採泥,および湖畔での湖水位・水文気象観測を実施した(Fig. 1参照)。御釜の水・化学物質収支から,地下水流入量0.007 - 0.019 m3/s,地下水流出量0.035 - 0.047 m3/sと見積もられ,湖水の一部は濁川源頭部(標高1540 m)へ0.01 m3/s程度漏出し,他はより深部へ漏出している可能性がある。なお,御釜が完全結氷する2019年12月5日~2020年5月5日に,湖氷の成長(湖水は冷却する)にも関わらず最深点の湖底水温が徐々に上昇した。これは。湖底から有意な地殻熱量があることを示唆し,今後,火山活動の一つとして地殻熱流量の評価とその時間変動を注視していく必要がある。