日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW23] 同位体水文学2021

2021年6月6日(日) 09:00 〜 10:30 Ch.12 (Zoom会場12)

コンビーナ:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、風早 康平(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、大沢 信二(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設(別府))、浅井 和由(株式会社 地球科学研究所)、座長:安原 正也(立正大学地球環境科学部)、中村 高志(山梨大学大学院・国際流域環境研究センター)、浅井 和由(株式会社 地球科学研究所)、大沢 信二(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設(別府))

10:10 〜 10:25

[AHW23-05] 2020年、富士山北麓に出現した一時的湖沼「赤池」について

*山本 真也1、中村 高志2、李 盛源3、安原 正也3 (1.山梨県富士山科学研究所、2.山梨大学国際流域環境研究センター、3.立正大学地球環境学部)

キーワード:富士山、一時的湖沼、水質、安定同位体

赤池は、富士山北麓・精進湖の東約1 kmの窪地に大雨が降ると出現する小規模の一時的湖沼である。従来、赤池は、精進湖と地下水を通じて繋がっていると考えられてきたが、これまで水質や同位体データに基づき赤池と精進湖の関係を検討した例はない。そこで本研究では、赤池の水の起源を明らかにするために、2020年7月に9年ぶりに出現した赤池から採取した水の主要溶存イオン組成、微量元素組成、水の水素・酸素安定同位体比、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比の測定を行い, これらデータを同時期に採取した周辺地域における水試料、降水試料と比較した。赤池の水質や水の同位体組成はいずれも精進湖の湖水と明らかに異なっており、また同時期の降水に近い水同位体組成を示すことから、赤池の水が主に直近の降水に由来することが示唆された。更に赤池の主要溶存イオン組成は、Ca2+とHCO3が相対的に少ない点で周辺の水試料と大きく異なっており、赤池の水の起源が、地下深部に浸透することなく比較的短期間(数日程度)で流出した降水にあることが推察された。