日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS10] 陸域海洋相互作用ー惑星スケールの物質輸送

2021年6月3日(木) 09:00 〜 10:30 Ch.11 (Zoom会場11)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)、座長:升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、Swadhin Behera(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)

09:00 〜 09:15

[AOS10-01] 2019年に発生したスーパーインド洋ダイポールモード現象の東アジア冬季への影響

★招待講演

*土井 威志1、Behera Swadhin1、山形 俊男1,2 (1.JAMSTEC/VAiG/APL、2.NUIST/ICAR)

キーワード:季節予測、インド洋ダイポールモード現象、多アンサンブル季節予測シミュレーション

インド洋ダイポールモード現象は、熱帯インド洋で大気と海洋が連動して変動する大規模な気候現象で、5、6年に1度程度の頻度で、夏から秋にかけて発生し、冬に急速に衰退する。ダイポールの名前は、海面水温、積雲対流活動、海面高度、海面気圧などの大気・海洋場の異常が東西ダイポール(双極子)構造で現れることに由来する。本現象は、世界各地で異常気象を引き起こすことが知られている。例えば、東アフリカでは平年より雨が多く、インドネシアや豪州では雨が少なくなる傾向がある。2019年に過去最強クラスの正のインド洋ダイポールモード現象が発生した。過去最悪と言われる豪州の山火事や東アフリカで食糧不足を招くバッタの大量発生、日本の記録的暖冬の一因になったとも指摘されている。本研究では、スーパーコンピュータを使った多アンサンブル数理季節予測シミュレーション(SINTEX-Fと呼ばれる)を使って、日本の暖冬予測が数ヶ月前から可能であったのは、2019年のインド洋ダイポールモード現象による遠隔影響(テレコネクション)が寄与していたからであることを見出した。同現象の発生とその遠隔影響を高精度に予測することは、自然現象の科学的理解にとどまらず、社会・経済的な視点からも非常に重要である。