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[AOS18-02] 最近の持続する黒潮大蛇行が亜熱帯モード水に与える影響。パート1:分布域全体における形成と移流
キーワード:亜熱帯モード水、黒潮大蛇行、黒潮続流
2017年8月に始まった現在の黒潮大蛇行は持続期間が3年を超え、過去最長だった1975~80年に続く、過去2番目の長さとなっている。本研究では、この持続する大蛇行が亜熱帯モード水(STMW)の形成と移流に与える影響を観測データから調べた。
1967年から観測が続く気象庁137E線では、1970年代後半から2016年までの40年間、STMWの断面積が黒潮続流(KE)の安定期に増加、不安定期に減少するという十年規模変動が見られていた(Oka et al., 2019)。2014年にPDOのwarm phaseが始まったことにより、KEは2016年半ばに安定状態から不安定状態に遷移したが、2017年8月の大蛇行開始に伴い、ロスビー波モデルの予測に反して安定状態に戻った(Qiu et al., 2020)。それにもかかわらず、137E線のSTMW断面積は2016年以降、減少し続けており、過去のKE安定期とは異なる傾向を見せている。これは、大蛇行に伴うKE南の海域から日本の南の海域へのSTMW西向き移流の減少(Suga and Hanawa, 1995)、KE南の海域におけるSTMW形成の減少、あるいはその両方のためと予想される。
そこで次に2005~20年のアルゴデータを解析した。16~19.5℃の低渦位層として定義されるSTMWは、KEの南で形成される、比較的冷たい16~18℃のものが体積の80%以上を占めている。16~18℃のSTMWの形成量は2006~09年のKE不安定期には少なく、2010~15のKE安定期には多く、それが前者(後者)の期間のSTMWの体積の減少(増加)をもたらした。続く2016年には、KEの南で異常に浅く、温かい冬期混合層が形成され、STMWの形成量が著しく減少した。黒潮大蛇行開始後の2018~2020年には、KEが安定状態にもかかわらず、16~18℃のSTMWの形成量は増加せず、2006~09年の不安定期と2010~15年の安定期の中間の大きさとなっている。加えて大蛇行発生以降、先行研究が示唆した通り、16~18℃のSTMWは南に大きく迂回して西向きに運ばれており、KE南の形成域から日本の南への海域への移流は年々減少している。このような形成と移流の減少により、STMW全体の体積は2016年以降徐々に減少している。
1967年から観測が続く気象庁137E線では、1970年代後半から2016年までの40年間、STMWの断面積が黒潮続流(KE)の安定期に増加、不安定期に減少するという十年規模変動が見られていた(Oka et al., 2019)。2014年にPDOのwarm phaseが始まったことにより、KEは2016年半ばに安定状態から不安定状態に遷移したが、2017年8月の大蛇行開始に伴い、ロスビー波モデルの予測に反して安定状態に戻った(Qiu et al., 2020)。それにもかかわらず、137E線のSTMW断面積は2016年以降、減少し続けており、過去のKE安定期とは異なる傾向を見せている。これは、大蛇行に伴うKE南の海域から日本の南の海域へのSTMW西向き移流の減少(Suga and Hanawa, 1995)、KE南の海域におけるSTMW形成の減少、あるいはその両方のためと予想される。
そこで次に2005~20年のアルゴデータを解析した。16~19.5℃の低渦位層として定義されるSTMWは、KEの南で形成される、比較的冷たい16~18℃のものが体積の80%以上を占めている。16~18℃のSTMWの形成量は2006~09年のKE不安定期には少なく、2010~15のKE安定期には多く、それが前者(後者)の期間のSTMWの体積の減少(増加)をもたらした。続く2016年には、KEの南で異常に浅く、温かい冬期混合層が形成され、STMWの形成量が著しく減少した。黒潮大蛇行開始後の2018~2020年には、KEが安定状態にもかかわらず、16~18℃のSTMWの形成量は増加せず、2006~09年の不安定期と2010~15年の安定期の中間の大きさとなっている。加えて大蛇行発生以降、先行研究が示唆した通り、16~18℃のSTMWは南に大きく迂回して西向きに運ばれており、KE南の形成域から日本の南への海域への移流は年々減少している。このような形成と移流の減少により、STMW全体の体積は2016年以降徐々に減少している。