日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS18] 黒潮大蛇行

2021年6月3日(木) 17:15 〜 18:30 Ch.03

コンビーナ:美山 透(国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)、碓氷 典久(気象研究所)、平田 英隆(立正大学)、瀬藤 聡(国立研究開発法人水産研究・教育機構)

17:15 〜 18:30

[AOS18-P03] 2020年に見られた黒潮大蛇行からの渦の切離

*美山 透1、宮澤 泰正1、バーラモフ セルゲイ1、章 若潮1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)

キーワード:黒潮大蛇行、渦、海洋再解析、予測可能性

2017年から続いている大蛇行は、2020年の10月頃大きく渦が切離して、形の上では黒潮大蛇行が終わった形になった。それに対応して、小さいことが黒潮大蛇行の指標である串本浦神の潮位差も上昇した。その後、九州東に存在していた小蛇行が東進して発達することで大蛇行に発達し、以前の大蛇行と入れ替わることで大蛇行は継続した形になった。串本浦神の潮位差も再び減少している。一方、大蛇行から切離した渦は西に進み、2021年1月末から2月初旬にかけて九州南東で黒潮に接合することで、小蛇行を形成した。途中、黒潮の流路は大きく変化したが、形の上では渦が入れ替わったことになる。1975-1980年の黒潮大蛇行期間中の大蛇行中の1978年にも黒潮大蛇行から大きく切離して、観測した神戸海洋気象台の春風丸にちなんで「はるかぜ」と呼ばれているが、「はるかぜ」は上記渦ほど大きくは移動せず、黒潮に再び吸収されている。2020年から2021年のような渦の切離と接合は初めて確認された例だと考えられる。2020年は上記の渦の大きな切離以前にも小さな渦の切離が発生し、黒潮大蛇行は不安定な状態にあった。これには、九州東の小蛇行の継続や、黒潮続流から続く高気圧偏差が影響したと考えられる。本講演では不安定であった黒潮大蛇行の力学的状況や予測可能性について議論する。