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[AOS19-02] 北海道十勝沖深海底における17年間の底層流観測:ケーブル型観測システム搭載音響層別流速計(ADCP)観測データの復旧
キーワード:音響層別流速計(ADCP)、北海道十勝沖深海底における長期観測、底生生物
千島海構域における地震・津波観測を目的として、3台の地震計及び2台の津波計を全長240 kmの海底ケーブルに取り付けた「海底地震総合観測システム」が北海道釧路・十勝沖に1999年に設置されている。当観測システムは、地震計や津波計だけでなく、ハイドロフォン、音響層別流速計(ADCP)、電磁流向流速計、CTDセンサやビデオカメラといった各種のセンサも搭載されている。ADCPは十勝沖の水深2540 mに位置する海底ケーブル先端に取り付けられた先端観測ステーションに搭載されている。ADCPによる観測は、設置以来2016年まで実施された。しかしながら、そのデータの多くはあまり解析されていない上、一部は散逸の恐れもある状況となっていた。今回、このADCPデータの復旧を試みた。
ADCPの生データは、通常メーカー(Teledyne RDI Instruments)が提供しているソフトウェアWinADCPを使用してASCIIに変換する。ただ、データの一部には、データ取得時の伝送エラーに起因するビットエラーが含まれている。生データにはチェックサムが含まれており、当該ソフトウェアでは、1ビットでもエラーがあるレコードはASCIIへの変換ができない。そこで今回はメーカーのドキュメントを基に直接変換を試みたところ、一部のデータについては変換が可能となった。
ADCPは48層の鉛直流速プロファイルを取得している。各層の厚さは8 mで、最下層の海底からの高度は12 mである。サンプリング間隔は30分としている。ADCPは流速だけでなく、音響信号の後方散乱強度も計測している。この散乱強度は、懸濁物量と相関がある。当該強度は、春から初夏にかけてピークを有する傾向が見られる。2006年6月から2008年6月にかけて静止画による海底画像観測も行われており、当該時期については顕著な濁りはあまり観測されないものの、5月から6月にかけて底生生物が増加する傾向が見られる。これらは、海面におけるスプリングブルームと関係する可能性が考えられる。
こうした現象を含め初期的の結果を報告する予定である。
ADCPの生データは、通常メーカー(Teledyne RDI Instruments)が提供しているソフトウェアWinADCPを使用してASCIIに変換する。ただ、データの一部には、データ取得時の伝送エラーに起因するビットエラーが含まれている。生データにはチェックサムが含まれており、当該ソフトウェアでは、1ビットでもエラーがあるレコードはASCIIへの変換ができない。そこで今回はメーカーのドキュメントを基に直接変換を試みたところ、一部のデータについては変換が可能となった。
ADCPは48層の鉛直流速プロファイルを取得している。各層の厚さは8 mで、最下層の海底からの高度は12 mである。サンプリング間隔は30分としている。ADCPは流速だけでなく、音響信号の後方散乱強度も計測している。この散乱強度は、懸濁物量と相関がある。当該強度は、春から初夏にかけてピークを有する傾向が見られる。2006年6月から2008年6月にかけて静止画による海底画像観測も行われており、当該時期については顕著な濁りはあまり観測されないものの、5月から6月にかけて底生生物が増加する傾向が見られる。これらは、海面におけるスプリングブルームと関係する可能性が考えられる。
こうした現象を含め初期的の結果を報告する予定である。