日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS19] 海洋物理学一般

2021年6月5日(土) 10:45 〜 12:15 Ch.10 (Zoom会場10)

コンビーナ:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)、北出 裕二郎(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科)、座長:川合 義美(国立研究開発法人海洋研究開発機構 地球環境部門 海洋観測研究センター)

12:00 〜 12:15

[AOS19-06] 気候値モデルと総観モデルを用いた南シナ海周辺海域におけるマイクロプラスチック中期輸送に関する研究

*松下 晃生1、内山 雄介1、高浦 育1、小硲 大地2 (1.神戸大学大学院、2.港湾空港技術研究所)


キーワード:マイクロプラスチック、南シナ海、粒子追跡モデル、季節風、中規模渦、エルニーニョ

プラスチックごみの主要な排出源とされる南シナ海の4河川(Pearl , Han (China), Mekong (Vietnam), Pasig (Philippines))起源のマイクロプラスチック(以下MP)について,粒子追跡モデルを用いたMP分散シミュレーションを行った.PE(polyethylene), PP(polypropylene)などの密度が小さく表層を浮遊するMPと,生物付着や微細化により密度が海水と同程度で,流れに対してパッシブに輸送されるMPの2パターンを考慮し,仮想MP粒子を高解像度モデル(HYCOM-ROMダウンスケーリング海洋流動モデル・水平解像度5km)内に放流した.本研究では,気候値モデルとおよび総観モデル(2012年〜2015年)に長期間粒子を放流することで,南シナ海におけるMP輸送の季節性や年々変動を含めた中長期的な輸送傾向を明らかにした.季節風が卓越する南シナ海海域では,上記4河川起源のMPの輸送にも季節性が強く見られた.また,中規模渦など南シナ海に発生する特徴的な海洋物理現象とMP輸送の関係性を評価した.さらに,気候値モデルと総観モデルの粒子追跡結果を比較することにより,南シナ海の平年的なMP輸送の傾向と,エルニーニョ(2014年~2015年)がMP輸送に与える結果を考察した.