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[BCG03-P03] 短鎖ペプチド分子レベルの高精度・高確度分析法の開発と展開
キーワード:短鎖ペプチド類、イオンペアクロマトグラフィー/電子スプレーイオン化質量分析法、ターゲット&ノンターゲット分析
アミノ酸が,とくに栄養学的知見から最も重視されるようになってから,すでに約100年が経過した。その後,いくつかの先駆的研究が契機となり,短鎖ペプチド類の重要性が徐々に認識されるようになった。短鎖ペプチド類の分析法は,分子自身のデリケートな性状に加えて,試料由来のマトリックス効果の除去,分子バリエーションの多様性など,分析上のハードルがある。それゆえに,アミノ酸に比べて,詳細な動態や知見が遅れ気味であったという側面がある。短鎖ペプチド類の潜在的役割は,生化学や薬理学に限定されるものではなく,地球化学的あるいは微生物生態学的にも重要な示唆を与えている。
アミノ酸と同様に短鎖ペプチド内の電子密度は,その局在性が大きい。ペプチド結合を介在し,分子内に双性イオンの挙動を有する極性官能基を複数有するためである。ゆえに,この分子内電位の局在性を上手にコントロールすることが,一連の分析フローの鍵である。ターゲット基質に適切なイオンペアを形成すれば,分離度の良いクロマトグラフィーを最適化できる。短鎖ペプチドの基本構成は,アミノ酸であるので,その疎水性インデックスの傾向は,クロマトグラフィーの傾向を読む上で参考になる。天然物には,同じ化学組成で,同じ質量数の分子が存在することから,クロマトグラフィーによる分離が必須であり,オンライン質量分析法の最適化が必要になる。
誘導体化を行わない分析法(Underivatized method)では,任意のターゲット分子のベースライン分離の後に,任意の二次分析を展開できるというメリットがある。最近,クロマトグラフィーによる短鎖ペプチド類の分離が最適化[1]されたことにより,今後,高精度な一次分析および,さらに精密な二次分析[2]が可能になった。以上の高精度・高確度分析法の開発と展開について,最新のアップデート[1]を紹介する。
[References]
[1] Takano, Y., Oba, Y., Furota, S., Naraoka, H., Ogawa, N.O., Blattmann, T.M. and Ohkouchi, N. (2021) Analytical development of seamless procedures on cation-exchange chromatography and ion-pair chromatography with high-precision mass spectrometry for short-chain peptides. International Journal of Mass Spectrometry, doi: 10.1016/j.ijms.2021.116529.
[2]例えば,Ishikawa, N.F., Itahashi, Y., Blattmann, T.M., Takano, Y., Ogawa, N.O., Yamane, M., Yokoyama, Y., Nagata, T., Yoneda, M., Haghipour, N., Eglinton, T.I. and Ohkouchi, N. (2018) An improved method for isolation and purification of underivatized amino acids for radiocarbon analysis. Analytical Chemistry, 90, 12035-12041. doi: 10.1021/acs.analchem.8b02693.
アミノ酸と同様に短鎖ペプチド内の電子密度は,その局在性が大きい。ペプチド結合を介在し,分子内に双性イオンの挙動を有する極性官能基を複数有するためである。ゆえに,この分子内電位の局在性を上手にコントロールすることが,一連の分析フローの鍵である。ターゲット基質に適切なイオンペアを形成すれば,分離度の良いクロマトグラフィーを最適化できる。短鎖ペプチドの基本構成は,アミノ酸であるので,その疎水性インデックスの傾向は,クロマトグラフィーの傾向を読む上で参考になる。天然物には,同じ化学組成で,同じ質量数の分子が存在することから,クロマトグラフィーによる分離が必須であり,オンライン質量分析法の最適化が必要になる。
誘導体化を行わない分析法(Underivatized method)では,任意のターゲット分子のベースライン分離の後に,任意の二次分析を展開できるというメリットがある。最近,クロマトグラフィーによる短鎖ペプチド類の分離が最適化[1]されたことにより,今後,高精度な一次分析および,さらに精密な二次分析[2]が可能になった。以上の高精度・高確度分析法の開発と展開について,最新のアップデート[1]を紹介する。
[References]
[1] Takano, Y., Oba, Y., Furota, S., Naraoka, H., Ogawa, N.O., Blattmann, T.M. and Ohkouchi, N. (2021) Analytical development of seamless procedures on cation-exchange chromatography and ion-pair chromatography with high-precision mass spectrometry for short-chain peptides. International Journal of Mass Spectrometry, doi: 10.1016/j.ijms.2021.116529.
[2]例えば,Ishikawa, N.F., Itahashi, Y., Blattmann, T.M., Takano, Y., Ogawa, N.O., Yamane, M., Yokoyama, Y., Nagata, T., Yoneda, M., Haghipour, N., Eglinton, T.I. and Ohkouchi, N. (2018) An improved method for isolation and purification of underivatized amino acids for radiocarbon analysis. Analytical Chemistry, 90, 12035-12041. doi: 10.1021/acs.analchem.8b02693.