日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT01] 生物鉱化作用(バイオミネラリゼーション)と古環境プロキシー

2021年6月6日(日) 15:30 〜 17:00 Ch.26 (Zoom会場26)

コンビーナ:豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、北里 洋(国立大学法人東京海洋大学)、Bijma Jelle(アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所)、廣瀬 孝太郎(早稲田大学  大学院創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻)、座長:北里 洋(国立大学法人東京海洋大学)、廣瀬 孝太郎(早稲田大学  大学院創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻)、豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、Jelle Bijma(アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所)

16:42 〜 16:57

[BPT01-11] 有孔虫の生態を明らかにするヒントになるか イレギュラーな観察

*豊福 高志1,2、長井 裕季子1,3 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.東京海洋大学、3.国立科学博物館)

キーワード:有孔虫、タイムラプス顕微鏡観察、バイオミネラリゼーション、室内飼育実験、蛍光観察、失敗

石灰質有孔虫類は海洋における炭酸塩の生産者として非常に重要視されている。例えば堆積物から有孔虫類を抽出しその群集解析、元素組成を分析することで過去の環境情報が復元される。その中心的な機能を果たしているのは有孔虫が沈着する炭酸塩の殻である。そのため、殻がどのように形成されることが非常に重要である。この炭酸塩殻は有孔虫細胞の成長に伴ってintermittentlyに形成することが知られている。餌を集め、細胞質が増えると、最後の部屋がいっぱいいっぱいになってしまう前に、次の部屋を作る、といったことを繰り返しているのである。このとき、すでに存在する部屋を足場として新しい部屋が建造される。その角度や部屋の大きさによって、全体の殻の形態が決定される。この裏では有孔虫の運動機能を司る仮足が非常に多様で重要な役割を果たしていることがわかってきた。これは殻形成の過程を繰り返し、つぶさに観察しするとともに、その超微細構造に至るまでを観察してるおかげである。我々の研究室では観察を行うために有孔虫の摂餌条件などを制御することで、殻形成を誘導する条件などを導き出した。そのため、ある程度、殻形成のタイミングをコントロールして、確実に観察できる体制を整えている。殻形成のプロセスを例えばタイムラプス観察のどうすることによってドキュメンテーションすることができる有孔虫の殻形成を記録すると彼らがどのような順序でできるか(and 時にはreporoductionを行い新しい子供が生まれる様子をつぶさに観察することができる)。また蛍光指示薬などを用いてカルシウムや pH 他に細胞内小器官などを染め分け、殻形成やそれ以外の生活の時にどのように分布しているか、どのように分布しているかといったことを観察することができる。 一方でそのような観察があまりにも長時間・高頻度に及ぶ場合は観察を失敗することもある。殻形成をしてると思ったら途中で止めて逃げてしまったり、reproductionの途中で分裂しているのにも関わらずまた一つの細胞に戻ったりすることがある。このような観察はうまく説明がつかないために論文として発表することはなかなか難しいが興味深い観察例も多くお蔵入りにするのももったいないことからここで発表して共有する機会としたい。