16:45 〜 17:00
[G01-06] 大学におけるオンデマンド授業による防災教育
キーワード:防災教育、オンデマンド授業、自然災害、オンライン授業、COVID-1
1)COVID-19と秋田大学
2020年1月16日,新型コロナウィルスによるCOVID-19の初めての感染者が日本で発見された。それ以降,COVID-19は急速に広まり, 4月16日には全都道府県に緊急事態宣言が発令された。これを受け,多くの大学で授業が急速にオンライン化された。
講演者の所属する秋田大学でも,オンライン会議システムや授業システム(秋田大学の場合はズームとWebClass)を使った授業が5月11日から展開された。秋田大学の2020年度の授業は,時間空間共有型の対面授業,空間非共有時間共有型のオンライン会議システムを使用した授業,時間空間非共有型のオンデマンド授業はと3つのタイプに分類できる。この中でも特にオンデマンド授業では,教員と学生は,時間も空間も非共有なため,学生と教員の相互作用を行うためには工夫が必要である。
2)「自然災害と防災教育」のオンデマンド化
昨年のJpGUで報告した「自然災害と防災教育」(林,2020)の2021年度後期の授業は,時間空間非共有型のオンデマンド授業で開講された。授業はSTEP1からSTEP4の4部構成である。
ショートレクチャー(STEP1)は昨年までの授業と同じく,要点だけをコンパクトに伝える基本的な知識の(高速の)解説である。演習問題(STEP2)では,授業のテーマに関連した演習問題を出題した。指定された教科書の該当ページを高速で読破する課題,インターネットで調査する課題,自信被害の予測データから災害現場の状況を考えさせる課題などを行った。これらの課題は,昨年までグループワークでおこなってきたものを若干改訂して使用した。ミニテスト(STEP3)は知識の確認のためのクイズ形式の4択問題である。5問ほどを出題し,その講義で得た知識を強化する。リフレクション(STEP4)では,学習課題を振り返り,学校での防災教育での活用について考えさせた。
3)オンデマンド授業の場合の学生との相互作用
学生へのこまめな対応は,もちろんオンラインで行った。その方法は主にa)授業システムに提出された課題へのコメント,b)ショートレクチャーでの振り返り,の2つである。a)演習問題やリフレクションは採点と同時に簡単なコメントをつける。学生はかなりこのコメントを見ているため教員からのリアクションとして機能している。紙ベースの提出物よりもはるかにコメントはつけやすい。ここでは極力「ほめる」行動を取り,学生を防災教育に積極的になるようにコントロールした。b)演習問題やリフレクションで提出された中から優れた解答を選び,ショートレクチャーの冒頭で紹介した。グループワークが使えないため,学生同士の相互作用はこの部分に頼るしかなかった。
4)授業の成果
これらの授業を行った印象について述べる(講演では学生の反応を具体的にあげる予定である)。林(2020)では,対面型で行った授業の成果として,「災害要因に関する知識」「災害に関する知識」「素早い判断力」「主体的な判断力」「災害発生前の対応力」などをあげている。これらの中で「素早い判断力」「主体的な判断力」「災害発生前の対応力」については対面型授業よりも身についたという印象がある。この講義の最終試験では,直下型地震にあった医者が自宅から診療所まで向かう途中で沿道の倒壊家屋から助けを求める声がするという状況で自分ならどう行動するかを問う問題である。30分程度で解かなければならない問題であり,もちろん正解のない問題である。学生の答案には,リアルにその状況を想像し,どのように悩むか真剣に想像し,そして対応策を考え出すというプロセスが読み取れた。講演ではこの他の問題に関しても具体的な解答例を示す。
以上,オンデマンドで行った2021年度の防災教育の授業について述べてきた。オンデマンド授業の特性を活かせば,対面型授業よりも効果的な防災教育が行える可能性がある。
2020年1月16日,新型コロナウィルスによるCOVID-19の初めての感染者が日本で発見された。それ以降,COVID-19は急速に広まり, 4月16日には全都道府県に緊急事態宣言が発令された。これを受け,多くの大学で授業が急速にオンライン化された。
講演者の所属する秋田大学でも,オンライン会議システムや授業システム(秋田大学の場合はズームとWebClass)を使った授業が5月11日から展開された。秋田大学の2020年度の授業は,時間空間共有型の対面授業,空間非共有時間共有型のオンライン会議システムを使用した授業,時間空間非共有型のオンデマンド授業はと3つのタイプに分類できる。この中でも特にオンデマンド授業では,教員と学生は,時間も空間も非共有なため,学生と教員の相互作用を行うためには工夫が必要である。
2)「自然災害と防災教育」のオンデマンド化
昨年のJpGUで報告した「自然災害と防災教育」(林,2020)の2021年度後期の授業は,時間空間非共有型のオンデマンド授業で開講された。授業はSTEP1からSTEP4の4部構成である。
ショートレクチャー(STEP1)は昨年までの授業と同じく,要点だけをコンパクトに伝える基本的な知識の(高速の)解説である。演習問題(STEP2)では,授業のテーマに関連した演習問題を出題した。指定された教科書の該当ページを高速で読破する課題,インターネットで調査する課題,自信被害の予測データから災害現場の状況を考えさせる課題などを行った。これらの課題は,昨年までグループワークでおこなってきたものを若干改訂して使用した。ミニテスト(STEP3)は知識の確認のためのクイズ形式の4択問題である。5問ほどを出題し,その講義で得た知識を強化する。リフレクション(STEP4)では,学習課題を振り返り,学校での防災教育での活用について考えさせた。
3)オンデマンド授業の場合の学生との相互作用
学生へのこまめな対応は,もちろんオンラインで行った。その方法は主にa)授業システムに提出された課題へのコメント,b)ショートレクチャーでの振り返り,の2つである。a)演習問題やリフレクションは採点と同時に簡単なコメントをつける。学生はかなりこのコメントを見ているため教員からのリアクションとして機能している。紙ベースの提出物よりもはるかにコメントはつけやすい。ここでは極力「ほめる」行動を取り,学生を防災教育に積極的になるようにコントロールした。b)演習問題やリフレクションで提出された中から優れた解答を選び,ショートレクチャーの冒頭で紹介した。グループワークが使えないため,学生同士の相互作用はこの部分に頼るしかなかった。
4)授業の成果
これらの授業を行った印象について述べる(講演では学生の反応を具体的にあげる予定である)。林(2020)では,対面型で行った授業の成果として,「災害要因に関する知識」「災害に関する知識」「素早い判断力」「主体的な判断力」「災害発生前の対応力」などをあげている。これらの中で「素早い判断力」「主体的な判断力」「災害発生前の対応力」については対面型授業よりも身についたという印象がある。この講義の最終試験では,直下型地震にあった医者が自宅から診療所まで向かう途中で沿道の倒壊家屋から助けを求める声がするという状況で自分ならどう行動するかを問う問題である。30分程度で解かなければならない問題であり,もちろん正解のない問題である。学生の答案には,リアルにその状況を想像し,どのように悩むか真剣に想像し,そして対応策を考え出すというプロセスが読み取れた。講演ではこの他の問題に関しても具体的な解答例を示す。
以上,オンデマンドで行った2021年度の防災教育の授業について述べてきた。オンデマンド授業の特性を活かせば,対面型授業よりも効果的な防災教育が行える可能性がある。