日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG23] 原子力と地球惑星科学

2021年6月5日(土) 09:00 〜 10:30 Ch.17 (Zoom会場17)

コンビーナ:笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、竹内 真司(日本大学文理学部地球科学科)、長谷川 琢磨(一般財団法人 電力中央研究所)、座長:長谷川 琢磨(一般財団法人 電力中央研究所)

09:30 〜 09:45

[HCG23-03] 地下水溶存成分を用いた深部流体の起源の整理とその判別方法の検討

*富岡 祐一1、近藤 浩文1、楠原 文武1、杉山 歩1,2 (1.一般財団法人電力中央研究所、2.アサノ大成基礎エンジニアリング)

キーワード:深部流体、スラブ起源水、化石海水、油田かん水

高レベル放射性廃棄物等の処分地の選定調査においては、地下深部からの流入が想定される深部流体の調査・評価が必要である。深部流体は慣用的にスラブ起源水、化石海水・油田かん水に分けられるが、このうちスラブ起源水は非火山性で高いCO2濃度、高塩分濃度をもつ熱水であり、これらの性質が処分施設に悪影響を及ぼす懸念があるため、処分地の選定においては、スラブ起源水の処分施設への流入の可能性や混合の有無について適切に評価する必要がある。
著者らは、深部流体に係る既往の研究事例を調査・整理するとともに、40か所以上の地点で採水調査を行い、溶存元素、ガス、同位体等を用いた各深部流体起源の判別方法についての検討を行った。既往の研究により評価されているスラブ起源水の特徴は、水の安定同位体比が熱水側へシフトすること、Li/Cl(重量比)が0.001より高いこと、He同位体比が高いことなどが挙げられる。一方で、化石海水や油田かん水はその逆を示すものが多いが、必ずしも明瞭に分けられるものではない。本発表では水質や同位体等を指標として用いた地下水起源の判別方法の検討に係る取り組みについて報告する。

本研究は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「平成30~令和2年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」の一環として実施したものである。