17:15 〜 18:30
[HCG24-P03] Continuous inflow estimate法によるミクロネシア連邦におけるマングローブ林細根生産量の定量と群落間比較
キーワード:マングローブ、海面上昇、細根生産、ブルーカーボン
沿岸生態系において固定・蓄積される炭素をブルーカーボン(Blue Carbon:以下「BC」と呼ぶ)という(IPCC 2009)。近年の温暖化の進行や気候の極端現象化に伴い、このBC動態への関心が高まっている。海洋生態系における炭素貯留において、BCは主要なコンパートメントであることから、地球規模での気候変動の緩和に向け、非常に重要な役割を果たすと考えられる(Alongi 2018)。海洋生態系のうち、マングローブ林は、塩性湿地や海草藻場と同様に、熱帯~亜熱帯域の沿岸生態系における主要な生態系を占める。マングローブ林は格段に高い生産力を背景に、他の陸域生態系と比較しても、高い炭素貯留能を有することが知られている(Alongi 2020)。故に、Donate et al.(2011)は、マングローブ林を“the most carbon(C)-rich forests in the tropics(熱帯域において最も炭素リッチな生態系)”と称している。
これまでの既存の研究では、マングローブ生態系の地下部泥炭層における高い炭素蓄積・隔離機能は、マングローブの地上部および地下部における高い生産力、とくに細根生産力に起因していることが示唆されてきた。しかしながら、マングローブ生態系の細根生産が果たす炭素隔離機能への役割に関する知見は、普段目にすることのない地下部における細根動態や蓄積量、炭素フラックス、根系の寿命等に関する調査方法の難しさや推定精度の問題から、未だ限定的な状況にある。
一方で、陸域生態系における研究では、近年、細根動態を包括的に推定するための新たな手法がOsawa and Aizawa(2012)やDo et al.(2016)等により提案されている。これらの手法は、連続的流入量推定法(continuous inflow estimate method)と呼ばれ、いくつかのコンパートメント(細根に由来するバイオマス、ネクロマスなどのコンパートメントに関するストック値)とそれらのフラックス(細根に由来する有機物成分の生産、枯死、分解など)を組み合わせたマスバランスモデルによって、細根動態を包括的かつ正確に推定するものである。
そこで、本研究では、Osawa and Aizawa(2012)の方法をマングローブ生態系に適用し、マングローブ林の細根動態を定量評価することとした。また、その結果を解析し、マングローブ生態系の純一次生産量(Net primary production)と細根動態との関係性やBC生態系における寄与率などを明らかにすることを目的とする。解析対象は、ミクロネシア連邦ポンペイ島におけるいくつかのマングローブ群落である。本発表では、これらの解析結果を報告する予定である。
これまでの既存の研究では、マングローブ生態系の地下部泥炭層における高い炭素蓄積・隔離機能は、マングローブの地上部および地下部における高い生産力、とくに細根生産力に起因していることが示唆されてきた。しかしながら、マングローブ生態系の細根生産が果たす炭素隔離機能への役割に関する知見は、普段目にすることのない地下部における細根動態や蓄積量、炭素フラックス、根系の寿命等に関する調査方法の難しさや推定精度の問題から、未だ限定的な状況にある。
一方で、陸域生態系における研究では、近年、細根動態を包括的に推定するための新たな手法がOsawa and Aizawa(2012)やDo et al.(2016)等により提案されている。これらの手法は、連続的流入量推定法(continuous inflow estimate method)と呼ばれ、いくつかのコンパートメント(細根に由来するバイオマス、ネクロマスなどのコンパートメントに関するストック値)とそれらのフラックス(細根に由来する有機物成分の生産、枯死、分解など)を組み合わせたマスバランスモデルによって、細根動態を包括的かつ正確に推定するものである。
そこで、本研究では、Osawa and Aizawa(2012)の方法をマングローブ生態系に適用し、マングローブ林の細根動態を定量評価することとした。また、その結果を解析し、マングローブ生態系の純一次生産量(Net primary production)と細根動態との関係性やBC生態系における寄与率などを明らかにすることを目的とする。解析対象は、ミクロネシア連邦ポンペイ島におけるいくつかのマングローブ群落である。本発表では、これらの解析結果を報告する予定である。