11:00 〜 11:15
[HCG26-02] 影響評価・適応策研究のための気候シナリオ選択手法の開発
キーワード:気候変動、適応、気候シナリオ
気候変動予測の不確実性は、世界に数十ある気候モデルによる予測(アンサンブル)のばらつきで評価される。しかし一般的に、気候変動の影響評価研究で、全ての気候モデルの予測を利用することは研究資源の観点から難しいため、少数の気候モデルの予測を選んで使うことが多い。本研究では、アンサンブルの幅を良くとらえる少数のモデルサブセットを選択する手法を開発した。この手法を適応して、日本における影響評価・適応策研究のために、第6期結合モデル相互比較プロジェクト (CMIP6)のモデルアンサンブルから5モデルを選択した。まず、気温変化予測の不確実性制約に関する近年の研究を参考にして、将来の温暖化を過大評価していると考えられている複数のモデルを省いた(残ったサブアンサンブルをCMIP6*と呼ぶ)。次に影響評価研究でよく使われる8変数に関して、CMIP6*のばらつきを良くカバーし、かつ現在気候のバイアスの少ない5モデルを選択した。これまで日本の影響評価研究では、気温変化と降水量変化のばらつきから選ばれたCMIP5の4モデルが使用されてきたが、本研究によって影響評価・適応研究にとってよりよいサブセットを選ぶことができた。