17:15 〜 18:30
[HCG27-P01] 日本の原子力利用に地球科学者はどう向き合うか
キーワード:原子力発電、地球科学
2011年福島第一原子力発電所のシビアアクシデントは東北地方太平洋沖地震・津波によって引き起こされた。事故による広範な被害は、これまで日本における原子力発電所の地学的リスクを研究対象としてこなかった本講演著者を含む多くの地球科学者にも、「自分も事故の当事者」であるという意識を生んだ。その意識が、2013年JpGU大会以来、日本における原子力発電と地球惑星科学の関わりについてオープンな議論を行うセッションを開催する動機となった。セッションでは、地震・津波・火山噴火などの地学災害に対する原子力発電所や高レベル放射性廃棄物処分の安全性とリスク、原子力と地球科学の関わり方、社会に対する情報発信のあり方などについて様々な議論を行ってきた。2011年福島第一原子力発電所事故から10年の節目である現在も、原子力発電所の再稼働、高レベル放射性廃棄物処分、福島第一原発での処理済汚染水の処分など、日本の原子力発電の地学的リスクに関する問題は依然として重く、しかも、科学的側面だけから結論を出すことは難しい。エネルギー安定供給問題、気候変動問題とCO2排出ゼロ目標、地方と中央の経済格差問題などを筆頭に、社会全体としての判断が求められる多様な問題が日本の原子力発電とそのリスクを取り巻いているからである。
本講演では、これまでのJpGUセッションならびにメディアを含む様々な場における議論を振り返り3.11から10年を経た現在の認識の到達点を確認するとともに、以下の問題を提起する。(1)大きな不確実性を伴う原発の地学的リスクを、日本の原子力発電を担う工学者、為政者、そして何より国民に対してどのように示すべきか?(2)広範な利害関係者から成る「公共空間」において国民の総合的な利益を最大化するための社会的意思決定をおこなう必要があるが、どうやってその様な「公共空間」を作ることができるか?
本講演では、これまでのJpGUセッションならびにメディアを含む様々な場における議論を振り返り3.11から10年を経た現在の認識の到達点を確認するとともに、以下の問題を提起する。(1)大きな不確実性を伴う原発の地学的リスクを、日本の原子力発電を担う工学者、為政者、そして何より国民に対してどのように示すべきか?(2)広範な利害関係者から成る「公共空間」において国民の総合的な利益を最大化するための社会的意思決定をおこなう必要があるが、どうやってその様な「公共空間」を作ることができるか?