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[HCG28-01] 室戸岬沖の堆積環境と地震履歴
キーワード:コンターライト、タービダイト、地すべり
室戸岬東方沖には海底地すべり地形が発達する.馬場ほか(2017, JpGU要旨)は1512年の永正地震の際の宍喰村に被害を及ぼした津波がこの海域の地すべりによるものであることを数値計算を用いて推定した.白鳳丸KH-16-5,KH-17-2航海では,同海域最大の地すべり地点において,無人探査機NSSのサブボトムプロファイラー(SBP)探査,表層柱状採泥を行ったが,最近生じた地すべりの証拠を得ることはできなかった.一方,その後行われた高解像度の海底地形調査では,想定した地点の西側に新しい地すべりが発見され(Baba et al., 2019, Tectonophysics),その崩壊による津波の発生が示唆されている.採泥とSBP探査を行った古い地すべりは,水深1050 m付近に等深線流に特徴的な微地形・堆積構造をしており,採泥試料の堆積構造からも等深線流によるコンターライトの堆積が明らかとなった.また,斜面の基部では多数のタービダイトを含む柱状試料が得られた.近傍の閉鎖海盆で報告されているタービダイトの発生間隔(岩井ほか,2004,地質学論集)とほぼ同じであり,本調査地点も河川からの堆積物供給が限られるため,地震による表層堆積物の再移動が示唆される.