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[HCG28-06] 節理が十分に発達した粗度のある岩盤におけるプラッキングの特性
キーワード:プラッキング、水槽実験、河床粗度、岩盤河川、岩盤侵食
岩盤河川における侵食の主なメカニズムは、輸送される砕屑物粒子による摩耗作用であるアブレージョンと節理などの結合の弱い箇所でその割れ目に沿って岩塊が剥離するプラッキングである。アブレージョンの実験研究は多くなされている一方、プラッキングについての力学的理解は遅れている。本研究では、岩盤の粗度(凹凸)に着目したプラッキングの室内モデル実験を行った。長さ12 m、幅0.4 m、高さ0.4 m、流量30 L/s、勾配0.1 %の循環型一方向流水槽を用い、下流の堰を段階的に下げて平均流速を上げながら河床を観察した。岩盤のアナログ材料には石膏(水中密度1.32~1.44 g/cm3)のブロックを用い、凹凸の波長と凹凸の大きさを変えてブロックを並べた5条件で実験を行った。その結果、プラッキングの発生については、節理が十分に発達した岩盤においては、粗度がある場合の方がプラッキングは発生しやすくなる。また、岩盤の凹凸の波長が大きいほど遅い流速でプラッキングが発生し、波長が短いほど速い流速でないとプラッキングしない傾向が見られた。これは、下流凹部に生じる流れが、上流直近の凸部のブロックにかかる流れからの揚力を減少させていると考えられる。さらに、凹凸の大きさが大きいブロックの方がプラッキングは発生しやすくなる。これは、より大きな凸部には、より大きな揚力が生じるためである。粗度のある岩盤河川におけるプラッキングは、剥離したブロックがインブリケーションして堆積することにより新たなプラッキングが起こりにくくなることで、連鎖的に発生しにくい自然現象であるといえる。そのため、フィールドでは、短期間での水理条件や気象の大きな変動がプラッキングの促進には必要であり、こうした変動が自然界の長期的な侵食速度をコントロールしていると考えられる。よって、水理条件の時間平均値だけでなく、変動の幅や変化の仕方(パターン)が重要である可能性が高い。