14:35 〜 14:50
[HDS08-05] スリランカのラトナプラ県における自然災害と対策
キーワード:斜面崩壊、氾濫、スリランカ、防災教育
本研究は,防災教育に活用できる自然に柔軟で持続可能な災害対策の基本を検討することが目的である。スリランカ南部のラトナプラ県の研究対象地域で災害対策に関し検討を開始した。住民の自然災害に対する危機意識はまだそこでは低いため,最近になり防災教育の開始された地域もある。その教育はスリランカ保健省のスタッフにより進められている。2019年9月に,斜面崩壊や氾濫の自然災害とその対策に関し現地調査した。調査ではそのスタッフによる支援を受けた。地理的な基礎資料は,アメリカ内務省の地質図データ,地球地図データ,ASTERとSRTM1のDEMデータ,Landsatデータを使用した。これら地理情報から道路,水系,土地被覆,標高,傾斜,流域,地質の分布を概略把握できた。
地質は先カンブリア時代の堆積岩起源の変成岩で,片麻岩である。そこでは山地,丘陵地,低地が見られる。低地で数10m,山地で500m前後の標高がある。山地は森林に広く覆われて急傾斜だが,所々に緩傾斜地が見られる。緩傾斜地は広く茶畑として利用されており,そのような場所に病院などの公共施設がよく見られる。ある病院建物の基礎に地すべりの兆候を示す多くの亀裂を確認した。斜面崩壊は山地の急傾斜地に生じた。このため山岳地の道路は通りにくくなっている。調査した斜面崩壊の多くは,強風化した岩盤が崩壊性地すべりを起こしたものだった。低地は沖積平野と台地に細区分される。沖積低地には住宅地や耕地が広がる。沖積平野のより低い場所で氾濫による被害が生じやすいことを確認した。そこでは仏像の台座が浸水を避けるため異様に高められている。台地には高級な住宅地や病院などの公共施設が良く見られる。丘陵地は森林に広く覆われる。都市部では緩傾斜の丘陵地裾野にも住宅地が見られる。
現地調査から自然災害に対する現地の人々の柔軟な対応が明らかになった。斜面崩壊に対し緩傾斜地を利用する工夫と,氾濫に対し高い地形を利用しまたは基礎を高める工夫を確認した。しかし利用した地理的な基礎資料では,斜面崩壊や氾濫の発生しやすさを推定できる地形条件までは十分に表せなかった。次の段階では,現地調査に基づく大縮尺の地形図及び高解像度の衛星データの解析から安全な地形条件とその土地利用を詳しく検討したい。
地質は先カンブリア時代の堆積岩起源の変成岩で,片麻岩である。そこでは山地,丘陵地,低地が見られる。低地で数10m,山地で500m前後の標高がある。山地は森林に広く覆われて急傾斜だが,所々に緩傾斜地が見られる。緩傾斜地は広く茶畑として利用されており,そのような場所に病院などの公共施設がよく見られる。ある病院建物の基礎に地すべりの兆候を示す多くの亀裂を確認した。斜面崩壊は山地の急傾斜地に生じた。このため山岳地の道路は通りにくくなっている。調査した斜面崩壊の多くは,強風化した岩盤が崩壊性地すべりを起こしたものだった。低地は沖積平野と台地に細区分される。沖積低地には住宅地や耕地が広がる。沖積平野のより低い場所で氾濫による被害が生じやすいことを確認した。そこでは仏像の台座が浸水を避けるため異様に高められている。台地には高級な住宅地や病院などの公共施設が良く見られる。丘陵地は森林に広く覆われる。都市部では緩傾斜の丘陵地裾野にも住宅地が見られる。
現地調査から自然災害に対する現地の人々の柔軟な対応が明らかになった。斜面崩壊に対し緩傾斜地を利用する工夫と,氾濫に対し高い地形を利用しまたは基礎を高める工夫を確認した。しかし利用した地理的な基礎資料では,斜面崩壊や氾濫の発生しやすさを推定できる地形条件までは十分に表せなかった。次の段階では,現地調査に基づく大縮尺の地形図及び高解像度の衛星データの解析から安全な地形条件とその土地利用を詳しく検討したい。