日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS08] 人間環境と災害リスク

2021年6月6日(日) 15:30 〜 16:30 Ch.15 (Zoom会場15)

コンビーナ:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、佐藤 浩(日本大学文理学部)、座長:青木 賢人(金沢大学地域創造学類)、佐藤 浩(日本大学文理学部)

15:30 〜 15:45

[HDS08-08] 海底地質リスクの問題点と課題

*川村 喜一郎1 (1.山口大学)

キーワード:海底地すべり、混濁流、泥火山、洋上風力発電

地質学は不均質性との戦いである。ここに地質リスクが存在しており、複雑な地質を如何に最適モデル化できるかが課題である。最適モデルにするためには、測定・観測要素を適切に抽出する必要があり、その選定は目的にあったかたちで実施されている。最適モデルにするためには、それらの事象の進行プロセスや発生メカニズムを知る必要があり、モデルを裏打ちするような原理原則が必要不可欠である。

このように陸上における課題として、地質リスクが存在しているが、海底となるとさらに難しい問題となる。しかし、この難敵は、資源採掘や構造物建設、さらには既存の構造物の沿岸防災において、避けて通れない課題である。

近年話題になっている洋上風力発電においては、喫緊の課題であり、津波や構造物を破壊する要因となる海底地すべり、敷設する送電ケーブルを切断する恐れのある混濁流、構造物に直接ダメジを与える恐れのあるシャローガスや泥火山、液状化などの海底地盤でのリスク要素、など事象は知られているが、発生規模や発生頻度、場所を特定困難なものばかりである。これらの海底地質リスク評価は、用地選定だけでなく、その後の施工や維持管理において、ボディーブローのように効いてくる問題であることは容易に想像がつく。

短い発表時間ではあるが、上記のリスク要素の捉え方、浅海域における地質リスク評価のアプローチ法、さらには、それらを検討する国内組織についてみなさんと議論したい。