日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 津波とその予測

2021年6月4日(金) 09:00 〜 10:30 Ch.17 (Zoom会場17)

コンビーナ:対馬 弘晃(気象庁気象研究所)、座長:対馬 弘晃(気象庁気象研究所)

09:30 〜 09:45

[HDS09-03] 2006年及び2007年千島列島沖地震の津波シミュレーション

*赤井 啓嗣1、馬場 俊孝2 (1.徳島大学大学院先端技術科学教育部知的力学システム工学コース、2.徳島大学大学院産業理工学研究部)

キーワード:津波

2006年及び2007年千島列島沖地震の津波シミュレーション



赤井啓嗣・馬場俊孝(徳島大学大学院)



 2006年及び2007年千島列島沖地震は約2か月の間隔で発生し,2006年の地震は逆断層型の海溝型地震で,2007年の地震はアウターライズで発生した正断層型の地震である. 2006年千島列島沖地震では,警報が解除された後に津波の最大波が観測された.適切なタイミングでの津波警報解除は現在課題となっている項目のひとつで,津波の長時間シミュレーションの精度向上は防災,減災の観点から重要である.先行研究において,ともに海溝型地震である2011年東北地方太平洋沖地震による津波と2010年チリ地震による津波について数値計算による予測の精度を評価した.本研究でも2006年及び2007年千島列島沖地震を使って同様な検討行うが,特にアウターライズ地震である2007年の地震に注目する.

 津波の初期水位の推定には,2006年,2007年ともにFujii and Satake(2008)のインバージョンにより求められた断層モデルを用いた.2006年の地震では8分割の小断層モデル2種と10分割の小断層モデル1種の計3種の断層モデルを用い,2007年の地震では6分割の小断層モデル2種の断層モデルを用いた.津波の計算では,線形及び非線形長波式に分散性,地球の弾性変形,海水密度成層を考慮したものを用いた.また,地形データはGEBCOを5分格子にリサンプリングして用い,スタッカード格子リープフロッグ法による差分計算により太平洋に展開されているDARTで観測での波形を出力した.

 津波計算及び観測記録との比較の結果,2006年地震については,複数の観測点で第一波の到達時刻及び振幅と,その後続波の振幅をある程度の再現できた.一方,2007年の地震にでは,いくつかの観測点において第一波の到達時刻及び振幅に,2006年の地震の結果よりも大きなズレが見られた.今後は検討する断層モデルを増やしたり,津波計算の時間を長くするなどして,さらに詳細に検討を続ける予定である.