日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS09] 津波とその予測

2021年6月4日(金) 17:15 〜 18:30 Ch.12

コンビーナ:対馬 弘晃(気象庁気象研究所)

17:15 〜 18:30

[HDS09-P05] 四国沖土佐ばえの海底地すべり地形調査と二層流津波計算

*黒住 将弘1、馬場 俊孝2、松野 哲男3、佐野 守4、今井 健太郎5 (1.徳島大学大学院創成科学研究科理工学専攻、2.徳島大学大学院産業理工学研究部、3.神戸大学海洋底探査センター、4.日本海洋事業、5.国立研究開発法人 海洋研究開発機構)


キーワード:海底地すべり、二層流モデル、津波計算

地震性津波は地震動を伴っているため揺れで津波の来襲を予期できるが,海底地すべりによる非地震性津波は地震動を伴わないか,もしくは弱いため,津波の来襲を見誤る恐れがある.我々は海底地すべりのリスク評価のため,四国沖の海底地すべり痕の地形調査を実施しており,本発表では土佐ばえ北側斜面の調査結果について報告する.当該海域の水深は浅いところで400m,深いところで1200mである.2019年3月と2019年8月の2回,神戸大学練習船深江丸で,マルチナロービーム音響測深を測線間隔500mに設定して行った.その結果,25m格子での海底地形データを取得できた.この海域では,海底地すべり痕が存在し,その大きさは東西方向に約1.9km,南北方向に約2.3km,厚さ約60mであった.海底地すべり痕の上流側で新たな崩壊の危険性も示唆された.
新たな崩壊によって励起される津波を評価するため,計算コードの開発も行っている.地すべり津波には海水層と土石層からなる二層流モデルが良く利用され,海水層と土石層との間には界面抵抗応力が導入されている.界面抵抗応力は海水層と土石層の流速差にある摩擦係数をかけて求めている.しかし,本研究のような大水深の場合は摩擦係数を深さ依存にする必要があると考えられる.どのような摩擦則を使ったらよいかは議論があるだろうが,本研究では津波計算でよく利用されるマニング則を利用し海水層に作用する界面抵抗応力を求め,またその反力を土石層に与えた.さらに二層流モデルでは土石層の移動により海水層が持ち上がられたり,引き下げられたりして津波が発生する.ここに非静水圧効果をKajiuraのフィルターにより考慮した.Kajiuraのフィルターは,毎時間ステップに海水層と土石層をカップルしながら導入されている.Kajiuraのフィルターを考慮しない場合は,高速な土石層の移動により海面が大きく変動するが,フィルターを考慮した場合は滑らかな海面変動となった.