日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS10] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2021年6月5日(土) 13:45 〜 15:15 Ch.16 (Zoom会場16)

コンビーナ:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、内田 太郎(筑波大学)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、座長:苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)

14:00 〜 14:15

[HDS10-02] 2020年7月豪雨による中部地方における斜面崩壊

*永田 秀尚1 (1.有限会社風水土)

キーワード:深成岩、溶結凝灰岩、付加体、人工斜面

梅雨前線の停滞により,2020年7月には日本各地で大雨となった.九州地方と同様に,岐阜県,長野県,愛知県を中心とした中部地方でも各地で災害があいついだ.地形,地質学的な観点から中部地方で発生したランドスライドについて概観する.斜面崩壊としては次のような例が見られた.1) 花崗岩類および溶結凝灰岩からなる斜面における表層崩壊:岐阜県高山市西洞では,白亜紀の中粒花崗閃緑岩と結晶質溶結凝灰岩(「濃飛流紋岩」)の双方がともに強風化してマサ状となっており,これらが多数崩壊した.深さは1 mに満たず,幅も最大20 mである.2) ジュラ紀付加体からなる斜面の深層崩壊:岐阜県郡上市奥田洞や長野県木曽町神谷では,美濃帯の風化した砂岩が崩壊した.また,長野県天龍村戸口では,風化した領家帯のメタチャート(少量の花崗岩,閃緑岩を伴う)が崩壊した.奥田洞と戸口の崩壊は深さが20mに達し,崩壊体積はそれぞれ50,000 m3,100,000 m3である.神谷では2箇所の表層崩壊が見られるのみだが,これらは幅400mの地すべりの末端に位置するものである.奥田洞の崩壊もより広い重力変形域の中で発生している.3) 郊外域の人工斜面崩壊:愛知県豊田市鴛鴨町では,鉄道の切土法面上方の道路から流入した大量の水によって法面が崩壊した.愛知県岡崎市岡町の宅地では,段丘崖に腹付けされた盛土が擁壁とともに崩壊した.