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[HDS10-05] ドローン空中電磁探査を用いた2011年台風12号により深層崩壊が発生した熊野地区の崩壊メカニズムの解明
キーワード:ドローン空中電磁探査、断層破砕帯、地下水
2011年の台風12号では、紀伊半島の総降水量は広い範囲で1,000mmを超えた。これにより、紀伊半島では、深層崩壊が72箇所で発生した。深層崩壊のメカニズムについては、災害直後から地形・地質・水文等様々な角度から研究が行われている。本研究では、和歌山県田辺市の熊野地区を例に挙げ、特に斜面を横断する断層破砕帯による地下水の誘導や堰き止めの観点から、深層崩壊のメカニズムを検討する。特に、近年急速に活用されているドローン空中電磁探査技術を用いることで、豪雨時の断層破砕帯周辺の地下水の挙動を明らかにする。
本研究では、まず、大まかな地質や地下水位、湧水の分布、断層破砕帯の有無を把握する目的で、熊野地区の崩壊斜面を含む周辺の広い範囲(4.99km2)で2012年11月28日にヘリコプターによる空中電磁探査を行い、地下約0~200mの比抵抗分布の調査を行った。なお、実施日は総雨量98.5mmの降雨の2日後であり、降雨の影響が残っていたと考えられる。次に、断層破砕帯の位置や地下の破砕構造を詳細に調査する目的で、地下約0~200mの電気探査(長さ約700m)を実施した(2020年11月25~27日)。電気探査の実施箇所は、崩壊斜面下部から見て、右上方の崩壊していない箇所にある。また、現地踏査の結果からも断層破砕帯が集中している箇所である。なお、測定開始時点で4日間ほぼ無降雨であり、乾燥期の比抵抗分布が得られた。電気探査の時期と前後して、電気探査と同じ箇所で、2020年台風14号の総雨量217mmの降雨終了3日後(2020年10月13日)と11日間無降雨の乾燥期(2020年12月2日)の2時期にドローン空中電磁探査を行った。ドローン空中電磁探査では、地下約0~200m、長さ約700mの比抵抗分布を調査した。その上で、これらの差分を取ることで、2020年台風14号時の断層破砕帯周辺の地下水の挙動を明らかにした。
熊野地区の崩壊斜面周辺には,4本の断層破砕帯が走っていることが分かった。また,この断層破砕帯のうち、3本は地下水を堰き止めるタイプであることが分かった。また、その他の1本は周囲から地下水を誘導するタイプであることが分かった。2011年の深層崩壊時にはこれらの断層により、地下水が誘導され、また、地下水が堰き止められて、深層崩壊が発生したと考えられる。
本研究では、まず、大まかな地質や地下水位、湧水の分布、断層破砕帯の有無を把握する目的で、熊野地区の崩壊斜面を含む周辺の広い範囲(4.99km2)で2012年11月28日にヘリコプターによる空中電磁探査を行い、地下約0~200mの比抵抗分布の調査を行った。なお、実施日は総雨量98.5mmの降雨の2日後であり、降雨の影響が残っていたと考えられる。次に、断層破砕帯の位置や地下の破砕構造を詳細に調査する目的で、地下約0~200mの電気探査(長さ約700m)を実施した(2020年11月25~27日)。電気探査の実施箇所は、崩壊斜面下部から見て、右上方の崩壊していない箇所にある。また、現地踏査の結果からも断層破砕帯が集中している箇所である。なお、測定開始時点で4日間ほぼ無降雨であり、乾燥期の比抵抗分布が得られた。電気探査の時期と前後して、電気探査と同じ箇所で、2020年台風14号の総雨量217mmの降雨終了3日後(2020年10月13日)と11日間無降雨の乾燥期(2020年12月2日)の2時期にドローン空中電磁探査を行った。ドローン空中電磁探査では、地下約0~200m、長さ約700mの比抵抗分布を調査した。その上で、これらの差分を取ることで、2020年台風14号時の断層破砕帯周辺の地下水の挙動を明らかにした。
熊野地区の崩壊斜面周辺には,4本の断層破砕帯が走っていることが分かった。また,この断層破砕帯のうち、3本は地下水を堰き止めるタイプであることが分かった。また、その他の1本は周囲から地下水を誘導するタイプであることが分かった。2011年の深層崩壊時にはこれらの断層により、地下水が誘導され、また、地下水が堰き止められて、深層崩壊が発生したと考えられる。