日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS10] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、内田 太郎(筑波大学)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

17:15 〜 18:30

[HDS10-P01] キルギス共和国,クムトール鉱山における永久凍土盛土地形の大規模崩壊

*青木 綾乃1、奈良間 千之1、山之口 勤2、Duishonakunov Murataly 3 (1.新潟大学、2.一般財団法人 リモート・センシング技術センター、3.キルギス国立大学)


キーワード:地すべり、永久凍土、衛星画像

2019年12月1日,キルギス共和国南東部,天山山脈,アク・シイラック山系に位置するクムトール鉱山にて,鉱山活動で生じた大量の廃棄土砂で形成された盛土が突発的に崩壊し,鉱山の従業員2名が亡くなる事故が発生した.
 クムトール鉱山周辺は,標高4000m付近の連続した永久凍土帯であり,山腹氷河が山麓まで張り出している.クムトール鉱山では氷河と永久凍土を崩して開削しているため,形成される盛土は永久凍土と氷河氷を含んでいる.また,盛土が形成される地盤は,場所により異なっており,永久凍土の斜面,永久凍土や氷河氷を含んだmoraine-complex(モレーンコンプレックス),氷河である.クムトール鉱山では,今回の崩壊イベント以前から,永久凍土や氷河氷で構成された不安定な盛土の流動が報告されている(Jamieson et al., 2015).盛土の崩壊や安定性に関する報告は多いが,クムトール鉱山のように永久凍土や氷河帯での盛土に関する報告はわずかであり,今回の崩壊イベントと,永久凍土や氷河氷との関係性は明らかでない.
 そこで本研究では, 衛星画像解析を用いて2019年12月1日に発生したクムトール鉱山における盛土の崩壊イベント前後の現象を調べ,山岳永久凍土や氷河氷で構成される盛土で発生した崩壊の特徴について考察した.また,クムトール鉱山には3つの盛土があるため,3つの盛土の比較からも崩壊の要因を考察した.