日本地球惑星科学連合2021年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS10] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2021年6月5日(土) 17:15 〜 18:30 Ch.10

コンビーナ:小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、内田 太郎(筑波大学)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)

17:15 〜 18:30

[HDS10-P02] 2018年北海道胆振東部地震における斜面崩壊分布と地形的特徴および地下構造との関係

*古山 淳一郎1、土井 一生1、釜井 俊孝1、松四 雄騎1 (1.京都大学)

キーワード:2018年北海道胆振東部地震、地震時斜面崩壊

2018年9月6日の北海道胆振東部地震に伴い、北海道厚真町において6000ヶ所を超える大規模斜面崩壊が発生した(Ito et al., 2020)。この地域は新第三紀中新世の堆積岩を基盤として、その上部に樽前山や恵庭岳由来のテフラが堆積している。崩壊の多くはこれらの表層のテフラが崩れたものであり、分布域は約25 km 四方の広範囲に広がる。一方で、その発生数や密度に地域差が認められ、Wang (2019)らは崩壊の密度差の原因について地質構造の影響を挙げ、また、田近ら(2020)は背斜軸に沿う地域で崩壊の密度が小さいことを指摘している。

崩壊の分布や地形のパターン、地質区分を目安に崩壊域およびその周辺部を細分化し、地形を特徴づけるものとして尾根幅や傾斜量を、基盤地質を特徴づけるものとして基盤を含む深さまでのS波速度構造を推定した。細分化した領域内において、国土地理院の5 m、10 m DEMを用いて、確認できる最も細かい尾根・谷の規則的な繰り返しと垂直な方向に測線を設定し、Perron et al. (2008) の方法を参考にして、測線に沿ったDEMデータに対して1次元フーリエ変換を行うことで、 最も卓越する地形の繰り返し間隔を推定した。 S波速度構造は微動アレイ探査を行い、拡張SPAC法を適用した。

地形解析の結果、崩壊分布や地質区分に基づいて分割した領域ごとに特徴的な尾根幅が大きく異なっていた。地形が基盤地質の影響を受け、さらに崩壊の有無に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また、これまでに微動アレイ観測を6地点で行い、深さ300 m程度までのS波速度構造を推定した。今後、より包括的に調査や解析を進めていく予定である。


謝辞: 国土地理院のDEMを使用しました。